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ブログカテゴリー » 資料館(エコミューズ)

エコミューズ所蔵資料の勉強会(5/22)

5月22日に資料集作成のための勉強会が開催されました。今回は、西淀川公害訴訟弁護団資料から「西淀川公害被害者実態調査(個人)報告」および「西淀川の公害被害―実態調査活動を終えて―」を取り上げました。本資料には、ケースワーカーによる公害被害者個人のライフヒストリー・現在置かれている状況・被害者が感じた公害状況の聞きとりなどがまとめられていました。また、調査の目的の記載もありました。本資料を出発点に裁判までの被害患者の意識がどのように変わっていったかを見ていく必要があるとの意見が出され、今後の資料集掲載に向けて、更に検討を深めて行かなければならないことがわかりました。

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西淀川公害=資料の紹介(5)裁判提訴の決意を正式に表明する――弁護団結成の趣意を述べ、加入を正式に呼びかける文書――

※機関誌りべらで連載をしている所蔵資料紹介コーナーの転載記事です。

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西淀川公害患者と家族の会(以下患者会と略)が大阪弁護士会所属の若手弁護士に裁判提訴の相談を持ちかけたのは1973年10月のことでした。

じつは、1970年前後のころから大阪の弁護士たちは、深刻の度を増す大阪地域の公害(たとえば大阪空港騒音問題・関電多奈川第二発電所問題・大阪中津コーポ高速道路問題など)を取り上げ、検討や対応を重ねていました。しかし、その弁護士たちが西淀川公害の提訴を正式に決意するまでには、それから4年という長い検討期間を費やさねばなりませんでした。

まずは、それを取り上げる社会的な意義の確認、そして、そのためには何をもって勝訴とするか、誰を相手とするか、論点をどう設定するか、また勝訴までの道程をどう支えていくか、等々、問題を把握するための真剣な検討が始まったのです。

写真の文書は「弁護団資料」と一括される資料のうち、初期に事務局長として弁護団事務局を支えた島川勝弁護士が保管していた複数ファイルの中に含まれています。
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西淀川公害訴訟弁護団資料No.3879

文書は、最初に大気汚染による全国の認定患者数が6万余を数える中で、大阪が2万余り、その中で西淀川区が5474人と、格段に多いことを述べ、しかも今なお悲惨な被害を受けていることを指摘します。

そして、こうした状況をもたらした大気汚染の原因は西淀川区を取り巻く大企業の事業所や道路の展開、それを放置してきた国の行政にあるとの結論に達したこと、空気をよごす権限は誰にもないにもかかわらず、国や大企業はその責任をとろうとせず、汚染は継続していることを指摘し、きれいな空気を取り戻すことと被害者の完全救済をめざすこと、法廷の勝利には世論の力が大きいこと、その連携を実現するために多くの弁護士たちの協力を求めると書かれています。

ここには、年月をかけた検討の結果がみごとに集約されていたと言っていいでしょう。

この考え方に到達するまでに弁護士たちは分担して調査と研究を重ね、たとえば、差し止めについての考え方をさらに一段高めようとした論文を残しています。

また、西淀川は古い工業地帯で、一見巨大企業がないようでしたが、その隣接区とも合わせてみるべきだとの見識に到達してきました。この文書には、そうした見識の確立とともに、被害者の声に耳を傾け、大事なことを成し遂げようとする弁護士たちの意欲と識見がありありと示されています。

この延長線上には、近代の大都市形成のあり方に対する批判もまた見えていたのではないでしょうか。

公害地域再生の方向性も感じられる貴重な文書というべきでしょう。

エコミューズ館長 小田康徳

 

りべらVol.161(2023年2月発行)より抜粋

エコミューズ所蔵資料の勉強会(12/23)

昨年12/23に、資料集作成のための資料勉強会を開催しました。
この日は、西淀川訴訟弁護団資料の中から、裁判提訴前後の資料を見てみました。

資料の解題づくりに着手しました。

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エコミューズの活動は、みなさんから頂戴するご寄附を財源にしています。
いただいた寄附をしっかりと役立てられるよう活動をしていきたいと思います。
また、今後もぜひとも活動を支えていただきたく、寄附を募っております。
どうぞご協力をよろしくお願いいたします。

あおぞら財団への寄附についてはこちら。
http://aozora.or.jp/aboutkifu

あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)
http://www.aozora.or.jp/ecomuse/

利用時間:月および金 曜日 10:00-17:00
※事前にあおぞら財団まで電話連絡をお願いします。
#おもろいわ西淀川
#にしよど
#魅力発信サポーター

エコミューズ企画展「絵画やポスターに見る西淀川公害とその地域」みてアート2022に参加(11/5-6)

11/5-6に開催された「みてアート2022」に今年は、あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)として参加しました。
今年で10周年を迎えた「みてアート」は、アートをきっかけに地域で交流しようと始まったイベントで、あおぞら財団で事務局をつとめてきました。

エコミューズでは「絵画やポスターに見る西淀川公害とその地域」と題して、地元在住の画家である江波正寛氏から寄贈された工場風景の絵画や、地元在住のデザイナー・廣畑潤也氏がこの企画展のために制作したポスターなどを展示しました。

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2日間で約360人が来館し、中には「昭和44年頃姫島3丁目に住んでいたころ、海の方は煙が夕日にあたり真赤に染まっていた事を想い出しました。」といった感想を寄せてくださった人もいました。

西淀川地域のこと、公害のことを考え、今の地域や暮らしを見直すきっかけになれば幸いです。

みてアート
http://miteart.blogspot.com/

(記:鎗山)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,みてアート,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2022年12月19日3:11 PM

追手門学院大学社会学部2年生 西淀川フィールドワーク(12/17)

2022年12月17日(土)、追手門学院大学社会学部の2年生のみなさんが西淀川を訪れました(引率:藤吉先生を含む3人、学生9人が参加)。藤吉先生は5月にも3年生のゼミ生が研修に来ていただいています。

阪神「出来島」駅に集合し、国道43号の道路沿道の環境対策を見学しました。国道43号は公害道路とも呼ばれるほど大気汚染や騒音、振動などの公害を引き起こしていましたが、大気汚染訴訟の和解条項に基づき、遮音壁の設置、光触媒の塗料の塗布、高活性炭素繊維(ACF)パネルの設置、環境ロードプライシング、PM2.5の測定といった様々な環境対策がなされています。

デイサービス施設「あおぞら苑」、千北診療所(公害病患者の治療の拠点)、大阪マスジドなどを経て、大野川緑陰道路を散策してあおぞら財団まで歩きました。雨降りの中ですが、フィールドワークは約90分におよびました。

あおぞら財団に到着後は、西淀川公害やまちづくり活動の説明をおこない、資料館(エコミューズ)を見学後、「ワークショップ フォトランゲージ」を行いました。

資料館にて、事務局長の藤江が「西淀川公害やあおぞら財団の活動」について学生に解説しています。

西淀川公害やあおぞら財団の活動についてのお話

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エコミューズの見学。パネルや裁判資料などをみてもらいました

次に、西淀川公害患者と家族の会の上田さんと公害認定患者の岩本さんから、公害病になってからのご自分の人生について語っていただきました。岩本さんは24歳でぜん息発作が起こり、それ以降、長い間病気と闘っておられます。続発症である中耳炎による聴覚障害、病気のために仕事が思うようにできず普通で当たり前の生活を失われてしまったとのお話などに学生のみなさんは真剣に耳を傾けていました。岩本さんは、公健法の改正によって公害患者の新規認定が打ち切られる直前の1988年に無事に認定を受けることが出来ましたが、認定を貰えなかったことで苦労している人がいるとのお話もされました。

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公害患者さんのお話

最後に感想を共有して、この日の研修は終了しました。学生のみなさんからいただいた感想を一部紹介します。

・公害を知らなかったら、ぜん息の症状が公害のせいだということを知ることができなかったと思うと、怖いことだと思いました。
・岩本さんが自分と同じくらいの年で症状を発症し、さまざまな苦労があったことをきき、他人ごとではないと思いました。公害患者になっても自分なら症状を受入れられないと思うので、人のために活動していることが本当に尊敬できると感じました。
・この公害をここで終わらさず、小さい子にも伝え続けるべきだと思います。患者さんは少なくなったとはいえ、まだたくさんいるので、少しでも多くの方が早く良くなってほしいです。

今日の研修で学んだことを、今後の研究活動等に活かしていただけたらと思います。

(記:谷内)

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