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» 2023 » 12月

環境再生保全機構 研修受入れ(11/16,11/17)

2023年11月16日と17日の2日間、独立行政法人環境保全再生機構の職員等18名が西淀川を研修のために訪れました。

(1日目)

16日の午後から研修がスタートしました。まずはじめにあおぞら財団研究員の谷内より、西淀川大気汚染公害の概要やあおぞら財団の活動についての講義が行われました。

西淀川公害、あおぞら財団についての講義

西淀川公害、あおぞら財団についての講義

続いて、公害患者である岩本さんと須恵さんから、西淀川公害の実態や病気の苦しみなどについてお話していただきました。
お二人のお話に共通していたことは、公害は自身の身体的な被害だけでなく、人付き合いや生活面においての精神的な被害も引き起こすということでした。それでも「未来のこどもたちに綺麗なあおぞらを」との思いで裁判を闘ってこられ、現在は語り部をしてくださっています。特に、お話に登場された岩本さんのお母さんや須恵さんの旦那さんなど、公害患者さんが持つ家族に対する思いに心を打たれました。

お二人のお話の後、西淀川公害患者と家族の会事務局長の上田さんも交えての質疑応答が行われました。上田さんからは主に裁判の経緯について詳しくお話をしていただきました。

左から上田さん、須恵さん、岩本さん

左から上田さん、須恵さん、岩本さん

続いて、西淀川・公害と環境資料館「エコミューズ」 を見学しました。この日は小田康徳館長にも資料の解説をしていただきました。

エコミューズ見学の様子

エコミューズ見学の様子

そして、元神戸製鋼の訴訟担当であり、現在はあおぞら財団の理事を務めておられる山岸さんに、上田さんとの対談形式でお話をしていただきました。

裁判当時の被告企業側の視点や立場、山岸さんと上田さんの出会い、和解に至るまでの経緯など、裁判の最前線にいた2人ならではの貴重なお話をたくさん聞かせていただきました。上田さんのお話にありましたが、被告企業側に山岸さんのような「なんとかしたい」と考えてくれる人がいたことが、和解につながる大きなポイントでした。

本当に貴重なお話でした

当時を振り返りつつ、真剣な眼差しでお話されていました

 

(2日目)

この日の午前中は、貸切バスでのフィールドワークを行いました。
西淀川公害裁判は「地域再生」で和解を遂げました。まちをめぐりながら、どのような地域再生事業が行われているのか、かつてはどのような状態だったのか、幹線道路や工業地帯と住宅地との距離感など、実際に足を運ぶことで体感できることがたくさんあります。

公害の碑、国道43号、尼崎の工業地帯、西淀川の中島工業団地などを見学した後、「姫里ゲストハウスいこね&くじらカフェ」にてランチを食べました。

公害の碑の解説

公害の碑の解説

国道43号の歴史と大気汚染対策について

国道43号の歴史と大気汚染対策について

車窓からも様々な対策事業を伺うことができます

車窓からも様々な対策事業を伺うことができます

ランチをいただいた後は大野川緑陰道路を歩き、大気常時観測局「歌島橋交差点局」を視察し、あおぞらビルへ戻りました。

昨日に続きエコミューズを訪れ、裁判の際に証拠として使われた資料を閲覧しました。またこの日は資料館別室にも訪れ、裁判に使用されたあらゆる資料を閲覧しました。

資料を守る箱がたくさん並んでいます

資料を保存する箱がたくさん並んでいます

その後3階会議室に戻り、フィールドワークの振り返りを行いました。
「四日市などのコンビナートと比べ、民家のすぐ近くに小さな工場がたくさん建っていた」「昨日患者さんのお話を聞いたうえで、今日は現在進行形で続けられている大気汚染対策事業を実際に見て回ったことで、まだ公害は終わっていないということを再認識した」「和解後に道路連絡会が設置され、国道43号で様々な対策がなされるなど、多様なセクターが多様な対策を行っていることがわかった」といった感想があげられました。

振り返りの後、あおぞら財団理事長である村松弁護士に講演していただきました。
村松弁護士は裁判において原告側の弁護団の一員として活動されてきました。裁判開始当初は企業の共同不法行為責任を問うことが難しいだろうと分析しつつも、「大気汚染の現状をなんとか訴えたい」という患者さんたちの熱意に押され、弁護団として闘いました。患者さんたちと共に歩んできた活動を軸に、裁判の経緯を詳しくお話ししていただきました。

裁判の要点をわかりやすく解説してくださりました

裁判の要点をわかりやすく解説してくださりました

最後に2日間の振り返りを行い、上田さんからまとめの挨拶をいただきました。山岸さんとの対談や村松さんのお話を経て、上田さんも当時の記憶がより鮮明になってきたそうです。研修に来てもらうことで聞き手に記憶を継承でき、またに話し手にとっても大きな学びが得られると話されていました。

非常に密度の濃い2日間でした

研修によって相互に学びが深まります

参加者の皆様からは、「認定患者さんの経験談と被告企業側の立場、双方の意見を聞くことによって公害問題への理解がより一層深まった」「語り部さんのお話を直接聞くこと中に、文字だけでは伝わらないものがあった」といった感想があがりました。
また、「被害者の思いを忘れずに業務に当たりたい」「被告企業側にも被害者に寄り添ってくれる人がいたことで和解につながり、現在は多様なセクターにより環境改善が行われているように、私も多角的な視点や寄り添う心を持ち続けたい」といった展望もあげられました。

同じ被害を繰り返さないため、環境政策の発展のため、公害の経験を継承することが大切です。そして私たち一人ひとりが「公害はまだ終わっていない」という認識を持ち続け、より良い環境づくりに向けた多様なセクターによる協働事業の展開が求められるのではないでしょうか。

 

 (あおぞら財団アルバイト・小松)


あおぞら財団では、フィールドワークや公害患者さんの語り部などを取り入れたオーダーメイドの授業、研修を行っています。SDGs達成に向け、パートナーシップで問題解決に取り組んだ大気汚染公害の経験を、現地で学んでみませんか?

あおぞら財団の授業、研修に興味のある方はこちら↓をご覧ください。

研修・教育(「あおぞら財団の研修・教育」のページに飛びます)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新 | 資料館(エコミューズ) | 視察受入 — aozorafoundation 公開日 2023/12/04(月) 02:02

月刊 あおぞら 2023年12月号

あおぞらExpress メール通信Vol.1063     発行:あおぞら財団
 あおぞら財団の活動報告です
今回は2ヶ月分です。
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1 今月のトピックス
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あおぞら財団付属の西淀川公害と環境資料館エコミューズでは、資料集編集の取り組みをしています。
月に一度勉強会を行って資料の見直しをしているほか、小田館長による資料紹介をりべら・ブログで連載しています。
一つの資料から豊饒な情報が得られ、今の環境問題や市民活動への様々な示唆が得られます。

西淀川公害=資料の紹介(6)はじめて西淀川区民の健康被害を本格報道
http://aozora.or.jp/archives/39761

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2  これまでの活動報告
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◆ ……………………………………………………………[資料館]
福島区患者会資料の受入(9/28)
http://aozora.or.jp/archives/39734
エコミューズ企画展「昔の西淀川区の川と水辺の風景 ~大野川と中島大水道~」みてアート2023に参加(11/4-5)
http://aozora.or.jp/archives/39810
◆ ………………………………………………………………[自転車]
【タンデム】淀川河川敷フェスティバルに出店(10/15)
http://aozora.or.jp/archives/39764
【タンデム】10/14「インクルーシブ・サイクリング体験会2023」開催
http://aozora.or.jp/archives/39830
◆ ………………………………………………………………[環境保健]
西淀川区健康いきいき展にて肺年齢測定(10/28)
http://aozora.or.jp/archives/39791
楽らく呼吸会「呼吸リハビリ」を開催(11/10)
http://aozora.or.jp/archives/39888
◆ ………………………………………………………………[環境学習]
第11回西淀川親子ハゼ釣り大会 開催(9/23)
http://aozora.or.jp/archives/39694
◆ ………………………………………………………………[研修受入]
龍谷大学清水ゼミ 研修 ワークショップ&公害語り部(9/15)
http://aozora.or.jp/archives/39659
追手門学院大学社会学部2年生 研修受入れ(11/11)
http://aozora.or.jp/archives/39839
関西大学社会学部大門ゼミ 研修受入れ(11/27)
http://aozora.or.jp/archives/39899
◆ ………………………………………………………………[文化再生]
みてアート2023~にしよどがアートのまちになる日~11/4-5に開催!
https://miteart.blogspot.com/2023/09/2023114-5.html
野外音楽フェスティバル in 矢倉緑地(11/3)
https://nishiyodoongakusai.blogspot.com/2023/09/113-in.html
ふるさと西淀川PR大使 庄野真代コンサート(11/5)
https://nishiyodoongakusai.blogspot.com/2023/09/115pr.html
◆ ………………………………………………………………[事務局]
【インターン】にしよど無料塾・伊藤孝先生に取材!(8/25)
http://aozora.or.jp/archives/39536
りべら163号(2023年10月号)発行
http://aozora.or.jp/archives/39805
佃中学生が職業体験に来ました(2023/11/9-10)
http://aozora.or.jp/archives/39818
◆ ………………………………………………………………[交流拠点]
あおぞら市、第2、第4水曜日開催中!
http://aozora.or.jp/archives/39720
http://aozora.or.jp/archives/39742
http://aozora.or.jp/archives/39789
http://aozora.or.jp/archives/39832
次回は、12/13に開催予定!!

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3 イベントのお知らせ
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◆ …………………………………………………………………………………[防災]
【参加者募集】にしよど防災ロゲイニング(12/2)
防災の視点で街を見ながら、楽しく西淀川をさんぽしましょう!
日時  2023年12月2日(土)9時半~12時(受付 9時15分~)
集合場所  あおぞらビル3階 会議室(西淀川区千舟1-1-1)
申込み https://forms.gle/tsQATe13pqnzxZC96(まだ申し込めます)

http://aozora.or.jp/archives/39726

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4  各種の募集情報
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◆ …………………………………………………………………………………   [寄付]

あおぞら財団の活動はみなさまからの寄附によって支えられています。
寄附金や賛助会費は税制上の優遇措置の対象になります
みなさまのご支援を心よりお待ちしています。
http://aozora.or.jp/archives/39601
http://aozora.or.jp/aboutkifu
〇オンライン寄付サイト Give One
https://giveone.net/supporter/project_owner.html?owner_id=393
※Give Oneでのご寄付は、すべて寄付金控除等の税制優遇の対象となります。

◆ …………………………………………………………………………………   [交流拠点]
地域交流スペース「あおぞらイコバ」貸出中
あおぞらビル1Fのイコバは、会議、ギャラリー、コンサート、
上映会などにご利用いただけます。
午前:1,000円/午後:1,300円/夜間:1,300円/全日:3,000円
http://aozora.or.jp/ikoba

◆ …………………………………………………………………………………   [交流拠点]
【姫里ゲストハウスいこね】公式ページで予約できます。
レンタルスペースとしてもご利用いただけます。
http://aozora.or.jp/icone-kujiracafe/reservation/

(編集後記)
先日、大阪市漁業組合の方から大阪湾で取れる魚についてお話を聞く機会があり、大阪湾で獲れる魚は変わりつつあるということを教えてもらいました。関西の春の風物詩であった「いかなご」は今ではほとんど獲れない、「しじみ」も獲れなくなっている、その一方で、丸々とした「いわし」が獲れるが東京で高く売られるので大阪の食卓には上がらないといったことなど。気候変動をはじめとする様々な環境の変化が起こって、漁業にも影響を与えているようです。(KT)

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■編集発行
【発行元】公益財団法人 公害地域再生センター(あおぞら財団)
【発行日】2023年12月1日
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■賛助会員募集中!
あなたの会費、寄付、ボランティア活動が当財団の活動を支えています。
当財団の目的に賛同してくださる皆さん、ぜひ賛助会員になって下さい。
http://aozora.or.jp/nakama
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■月刊あおぞらについて

あおぞら財団の活動報告やイベントなどの最新情報などを皆様にお伝えすることを目的に、月に一度、情報発信させて頂いています。
本メールは、あおぞら財団の会員、メーリングリストにお申込いただいた方およびあおぞら財団のイベントや研究会などで名刺交換させて頂いた皆様にも送信させていただいております。


「あおぞらEXPRESSの「購読登録」、「購読解除」は下記のページからお申し込みください。
http://aozora.or.jp/yomu/aozora-express

Filed under: イベント報告・ホームページ更新 | 事務局 — aozorafoundation 公開日 2023/12/01(金) 01:40

関西大学社会学部大門ゼミ 研修受入れ(11/27)

2023年11月17日、関西大学社会学部大門ゼミの3年生等が15名が西淀川を訪れました。

まずはじめに、タンデム自転車に乗って西淀川のまちでフィールドワークを行いました。現在のまちを見て周り地域そのものを体験することは、地域の歴史や文化を学ぶ上で非常に重要です。語り部さんのお話を聞く際にも、当時と現在の対比が想像しやすくなりますね。

あおぞらビルのすぐ前から大野川緑陰道路に入り、タンデム自転車の乗り方を少し練習してからの出発しました。

はじめにタンデム自転車の乗り方について説明を受けます

初めにタンデム自転車の乗り方について説明を受けます

しっかりとメモをとる学生さんたち

しっかりとメモをとる学生さんたち

大野川緑陰道路の紅葉はちょうど見頃です

大野川緑陰道路の紅葉はちょうど見頃です

大野川緑陰道路を西に進み、終点までいくと目の前が淀川の堤防です。工業地帯、西淀川の住宅地、大阪市中心部のビル群、河口の埋立地などを四方に見渡すことができます。

そこから西島の工業地帯を超えて、国道43号沿いにある大気常時観測局「大和田西交差点局」に向かいました。ここで、かつての国道43号、大気汚染公害裁判、和解後の対策事業についての説明を行いました。

工業地域、住宅地、市街地、埋立地を見渡すことができます

堤防から工業地帯を望む

大気常時観測局の前で、現在の対策を解説

大気常時観測局の前で、現在の対策を解説

あおぞらビルに戻ったあと、まずは西淀川の公害とあおぞら財団の設立について講義が行われました。その後、西淀川公害患者と家族の会の矢根さんと上田さんにお話を聞かせていただきました。

概要の講義

西淀川公害の概要について講義

矢根さんと上田さん

矢根さんと上田さん

矢根さんは生野区の出身で、30代の頃に気管支ぜん息を発症されました。当時は大阪市全域で空が曇っており、多くの人々が大気汚染の被害を受けました。その中でも西淀川区は、認定患者さんが最も多い地域です。
発症当時は(世間一般で)大気汚染公害という認識がなく、「風邪の延長かな?」という程度に感じていたそうです。しかし次第に症状が悪化し、発作で倒れての緊急搬送を3度も経験し、その後は後遺症で手足の痺れが残りまともに働くことができない状況に陥ってしまいました。
通院を繰り返す中で患者さんどうしのつながりが生まれ、「手渡したいのは青い空」の思いに共感し裁判を闘ってこられ、今では語り部をしてくださっています。

上田さんからは汚染者負担の原則や共同不法行為、また大気汚染物質の環境基準についてのお話などをしていただきました。

質疑応答も盛り上がりを見せました

質疑応答も盛り上がりました

お話の後、あおぞら財団付属西淀川・公害と環境資料館「エコミューズ」を見学しました。実際に裁判で使われた資料、公害患者さんの手記、当時の小学生の文集などを閲覧しました。

裁判で使われた資料や公害患者さんの手記などを閲覧しました

裁判で使われた資料や公害患者さんの手記などを閲覧しました

最後に振り返りをおこなって、研修は終了となりました。

学生さんたちからは、「公害は健康被害だけでなく人生そのものに被害を与えるという深刻さが、語り部さんのお話からよくわかった」「上田さんたちが被告企業側と信頼関係を築いたことで和解に至ったというお話を聞いて、相手に寄り添うこと、多角的に見る視点の大切さを知った」といった感想が出ました。

小グループで感想を共有し合いました

小グループで感想を共有し合いました

タンデム自転車に乗って現在の地域を体感し、語り部さんのお話や資料館では歴史を知り、2通りの視点で多くのことを学ぶことができました。とても充実した研修となりました。

タンデム自転車を使ったフィールドワークは、必然的にパートナーとの信頼関係が生まれます。アイスブレークにも最適ですので、研修にお越しの際はぜひご利用ください。

IMG_9114

タンデム自転車を使った西淀川フィールドワーク(「あおぞら財団の研修・教育」のページ)

 (あおぞら財団アルバイト・小松)


あおぞら財団では、フィールドワークや公害患者さんの語り部などを取り入れたオーダーメイドの授業、研修を行っています。SDGs達成に向け、パートナーシップで問題解決に取り組んだ大気汚染公害の経験を、現地で学んでみませんか?

あおぞら財団の授業、研修に興味のある方はこちら↓をご覧ください。

研修・教育(「あおぞら財団の研修・教育」のページに飛びます)

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