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ブログカテゴリー » 西淀川公害授業

京都精華大学 環境教育実習2日目 西淀川高校

西淀川高校(エコ・コミュニケーション同好会(ECC)【菊池君、百尾君、山崎さん】、辻先生(「環境」担当)、佐伯先生、畑中さん、森脇先生)

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 西淀川高校に赴くと、エコ・コミュニケーション同好会(ECC)の3人と先生方4人が出迎えてくれました。お昼ごはんもクーラーの効いた教室で食べさせてもらい、のんびりとしたアットホームな空気の中話を聞かせてもらいました。
西淀川高校は全国でも珍しく環境教育を「環境」という名で教科として取り入れている学校です。西淀川公害訴訟を背景に、地域について学びながら、生き方を考える教育をしよう!という考えのもと、立ち上げられました。

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 その中でも、ECCの生徒達は学校の早朝清掃を行ったり、地域清掃として2ヶ月に1回学校から出来島駅までをゴミ拾いをしているそうです。さらに、農作物を栽培したり、菜の花を収穫して菜の花プロジェクトにも加わっています。
 プレゼンをしてくれたECCの菊池君、百尾君、山崎さんは、入部当初「環境」に興味を持っていなかったそうですが、大学生から「西淀川の未来はどうなってほしい?」と聞かれると「植物や動物が増えてほしい」「人と人の関係がもっと豊かになってほしい」と答えていました。学生達は「ECCの生徒たちが「やらなければ」という義務感からではなく、「やりたい」と楽しみながら活動しているのが伝わってきた」「西淀川公害の歴史を持つ土地柄を生かしてフィールドワークを増やし、生徒がさらに自分事として考えられるような仕組みを作ったらどうか」と感想を語っていました。
P8028110 ECC

・京都精華大学 環境教育実習 4日間の様子はこちら
 環境教育実習1日目 大阪ガス
 環境教育実習1日目 永野千代子さん
 環境教育実習2日目 国交省
 環境教育実習2日目 山岸公夫さん(元神戸製鋼職員)
 環境教育実習3日目 発表準備
 環境教育実習4日目 発表 チーム・スパークリング
 環境教育実習4日目 発表 チーム・紅茶花伝
 環境教育実習4日目 発表 チーム・マンゴーLASSI

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,西淀川公害授業,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2012年8月23日2:05 PM

京都精華大学 環境教育実習2日目 国交省

国土交通省近畿地方整備局大阪国道事務所

P8028061 国交省

2日目は暑い中、屋外で約2時間に渡り国交省の青山さんと、杉本さんが国道43号の沿岸環境対策技術について説明してくれました。国道43号線は交通量が多く、阪神高速も通っているので、隣の人とも声を張りながら話さなければならず、すごい騒音と排気ガスでした。
国交省は国道43号線沿いで大気を浄化したり、騒音を低減する様々な環境対策を取っています。出来島小学校道路側の遮音壁や阪神高速の歩道部遮音壁に塗られている光触媒は、喘息の一原因である窒素酸化物(NOx)を分解し、大気浄化に寄与するそうです。また、ピュアプランターやACF(高活性炭素繊維)を設置し、大気中の二酸化窒素(NO2)やNOxを吸収することで、大気浄化に一役買っています。他にも、高速道路の遮音壁先端に減音装置を取り付け騒音防止にも取り組んでいます。大気常時観測局も道路わきに取り付けられており、NOxやCO2の濃度を測り科学的な数値を出します。ただ、これらの対策はまだ実験段階であり、効果は微量だそうです。

IMG_0711 国交省2

患者さんや住民の方が求める車の交通量規制や排気ガス問題は、法律や条例、車を作る技術などが関わってくる為、国交省の管轄や役割を超え、企業や行政、警察の力が必要になってくるものらしいです。それでも、青山さんや杉本さんは西淀川公害について学び、「自分たちに出来る事をできるだけやっていこうとしている」のだと仰っていました。その言葉の通り、私達が矢継ぎ早に出す質問にも嫌な顔一つせず、丁寧に答えてくださり、環境対策に対する熱意が伝わってきました。

国交省のホームページでも環境教育実習について掲載されています。ごらんください。

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環境教育実習1日目 大阪ガス
環境教育実習1日目 永野千代子さん
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京都精華大学 環境教育実習1日目 永野千代子さん

・永野千代子さん

P8018003 圧縮

 午後はあおぞら財団で永野千代子さんのお話を聞かせて頂きました。その日は台風が接近しており、気圧が変化していつもよりきついんだ、と咳をゴホゴホしながら当時の様子や現在の想いを話してくれました。
永野さんは慢性気管支炎で、彼女の息子さんも1歳半で喘息気管支炎と認定されました。その息子さんが小学4年生の時に43号線でトラックにひかれて亡くなります。そのとき小学校の校長先生に「息子さんと同じように公害で苦しんでいる子ども達がいる。その子ども達を救うことが息子さんへの一つの供養になるんじゃないかね・・・」というような言葉をかけてもらったことが運動を始めるきっかけになったそうです。
「自分は悪くないのに病気になったのはなんでや。その原因を知りたい」「空気をきれいにしないと子どもは楽にならない」そういった思いが永野さんの中にはあったそうです。西淀川をきれいにする運動をやっていけば空気がきれいなる!そう信じている仲間と一緒だからこそ運動を続けて来れたと仰っていました。現在でも国交省の人々と年に一回話し合いをしているそうです。その話し合いでは、あおぞらビル前の歌島橋交差点に横断歩道を作り、排気ガスを排出する大型ディーゼル車の交通量を減らすように求めているそうです。

P8018001 永野さん

 話の最後に、学生から「永野さんの夢って何ですか?」という質問がありました。永野さんは「西淀川をきれいにすること。そしてこの夢をあおぞら財団の人たちに託している。」と隣に座っていたあおぞら財団の林さんをニコニコして見ながら仰っていました(林さんは「ひ~っ責任重大だ」と恐縮していました)。
永野さんの話を聞いて、永野さんを含め当時闘ってきた多くの人たちが現在でも、西淀川を空気がきれいで住みやすい地域にしたいと強く思っているのだと、その場にいた学生たちは感じたようです。私も永野さんの「西淀川をきれいにしたい」という言葉には、自分たちが住んでいる街を、住みやすい環境にする為の強い想いと、自分たちの尊厳や人権を守るんだという意志が含まれているのだと感じました。

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 環境教育実習1日目 大阪ガス
 環境教育実習2日目 国交省
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京都精華大学 環境教育実習1日目 大阪ガス

 8月1日、2日の2日間、京都精華大学の学生10人が西淀川公害の今を学ぶため西淀川を訪れました。1日目は大阪ガス、公害患者の永野千代子さん。2日目は国土交通省、西淀川高校のエココミュニケーションクラブ、元神戸製鋼所の山岸公夫さんにお話を伺いました。そして2日間のフィールドワークもとにして、何を感じ、考えたのか8月3日と4日に京都精華大学でグループ発表を行いました。

1日目
大阪ガス(館長代理中田洋太郎さん、CSR古寺淳二さん)
 
 環境教育実習のスタートは大阪ガスから始まりました。大阪高石市にある泉北製造所とガス科学館を見学しました。大阪ガスは西淀川公害裁判の被告企業10社中の1社で、1971年に天然ガス(LNG)への移行を決定する前までは石炭を原料にガスを作っていました。当時は此花に工場があり、石炭ガスは煙を大量に出すため、対岸にある西淀川にも被害はあったという理由で被告に挙げられました。

s-P8017904

 ガス科学館では館長代理の中田さんが、天然ガスが採掘されて家庭へ送られるまでの仕組みや、大阪ガスの歴史など資料館を案内しながら説明してくださいました。元技術者の中田さんは楽しそうにガスの事や機械のことを話してくださっていて、本当にガスや工場のことが好きなんだなと感じました。ただ残念なことに西淀川公害のことは資料展示にはないようでした。P8017971

 その後お話をしてくださったCSRの古寺さんは、天然ガス(LNG)について笑いを交えながら詳しく説明をしてくださいました。天然ガスはコストが安い上に、二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)の発生量を石炭ガスに比べて大幅に減らし、硫黄酸化物(SOx)の発生量をゼロにするという環境にやさしいクリーンなエネルギーだそうです。古寺さんが胸を張りながら余裕を持って説明する姿から、大阪ガスという会社に自信を持っているんだなぁと感じました。
ただ、学生の中には「公害のことに触れる話をあまり聞けなかったので、社会科見学や企業説明会のような印象を受けた」と感じる人もいました。現在、工場立地場所と西淀川は離れていますが、理想を言えば、西淀川公害のことを踏まえつつ、あおぞら財団や住民の方、大阪ガスとが今よりも積極的に関われるようになれば、さらによりよい関係を築くことが出来、もっと住みやすい西淀川になっていくのではと感じました。

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 環境教育実習1日目 永野千代子さん
 環境教育実習2日目 国交省
 環境教育実習2日目 西淀川高校
 環境教育実習2日目 山岸公夫さん(元神戸製鋼職員)
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 環境教育実習4日目 発表 チーム・スパークリング
 環境教育実習4日目 発表 チーム・紅茶花伝
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シンポジウム 環境教育をラディカルに問い直す

2012年7月7日に京都精華大学にて「シンポジウム 環境教育をラディカルに問い直す」が開催されました。
井上有一・今村光章編『環境教育学 ― 社会的公正と存在の豊かさを求めて』(法律文化社、2012)を手掛かりに
これまでの環境教育の枠組みを根本から問い直し、持続可能な未来社会の実現に貢献できる環境教育にはなにが必要かを環境思想と教育哲学の立場から探るという、枠組みが大きいシンポジウムに、あおぞら財団の公害教育の実践も加えていただけることになりました。
(第2章の公害教育にて取り上げられています)

内容については
細川弘明先生のブログ :kuwasiku:
奥田みのりさんの記事(オルタナ) :kuwasiku:
をご覧ください。

この本は環境教育だけではなく、開発教育や教育哲学からの視点があり、環境教育のめざすところが「環境の知識を学ぶ」為だけではないところが面白いのですが、議論が「遊び」や「無為」、「死」など、人間形成にかかわる部分まで及び、難しかったけれど面白かったです。
シンポジウムのおかげで、これからも公害教育がんばろう!と元気になりました。(林)

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