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ブログカテゴリー » 西淀川公害授業

京都精華大学 環境教育実習4日目 発表チーム・紅茶花伝

・「チーム・紅茶花伝」
1無題

「チーム・紅茶花伝」は他2チームと違い、イベント企画を提案するというよりも、直接話を聞かせて頂いたそれぞれの方の立場や、良い所悪い所を浮きぼりにしたうえで互いのつながりを強いものにするためにはどうするか、という精神的な取組を中心に発表しました。「チーム・紅茶花伝」が目標とするところは、西淀川公害に関する互いの認識のずれを共有したうえで新たな関係づくりに組んでいくこと。住民も企業も行政も西淀川が好きだ、この町が自慢だと思えるようになれる街づくりを目指すこと。

2無題

それを目的に掲げた背景には、森脇さんと山岸さんの対立関係にあった二人が話をしているのを見て、立場は違っても人と人とが繋がることは可能なことであるのだと感じたからだそうです。
目標を具体的にしていくために、企業や行政、地域住民という大きいな括りで対応するのではなく、それぞれ内部の人間が信頼関係を築いていく。過去から現在まで続く互いのすれ違いや認識のずれを共有し、それぞれができることを取り組んでいけるような関係へ、と考えたそうです。

3無題

発表後のコメントでは「一社員・一公務員が組織に影響を与え、地域社会の流れを変えていけるような広がりを作れるとは思えない」「感情論で説き伏せているように感じる部分があり、私たちが出来る具体的な提案も欲しかった」という意見が出ました。ですが、現実的な対策や対応の根本となる信念や考えを「チーム・紅茶花伝」なりに分析できたことはよかったことだと思います。

・京都精華大学 環境教育実習 4日間の様子はこちら
環境教育実習1日目 大阪ガス
環境教育実習1日目 永野千代子さん
環境教育実習2日目 国交省
環境教育実習2日目 西淀川高校
環境教育実習2日目 山岸公夫さん(元神戸製鋼職員)
環境教育実習3日目 発表準備
環境教育実習4日目 発表 チーム・スパークリング
環境教育実習4日目 発表 チーム・マンゴーLASSI

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,西淀川公害授業,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2012年8月23日2:07 PM

京都精華大学 環境教育実習4日目 発表 チーム・スパークリング

 授業最終日、発表の日がやってきました。どのチームも授業開始の2時間前にやってきてパワーポイントとレジュメの最終仕上げを行いました。皆が作業している場所でパワーポイントを実際にスクリーンに映し、リハーサルを行いましたが、どのチームも自チームの仕上げに集中して他チームのリハーサルに見向きもしませんでした。それ程みんなが一生懸命に西淀川公害に向き合っていました。

「チーム・スパークリング」
1スパークリング

 「チーム・スパークリング」は、西淀川公害問題に関する法律や制度を住民の手によって変える、という視点から発表を行いました。地域住民を主体においた理由を次のようにあげています。一つは公害患者の永野千代子さんが言う「西淀川をきれいで住みやすい街に」という想いと、行政や企業の考え方や法制度のズレを感じたこと。そして、実際にその土地に暮らしている地域住民こそ、生活環境が悪化すれば一番被害を受ける存在であり、行政などと比べて、より生活に則した現実的で根本的な改善を行えるからだとしていました.。

無題 スパークリング2

 そこで制度整備の具体的な方法として、西淀川高校を利用した環境イベントを提案しました。多くの人に関心を持ってもらうきっかけを作ることで、西淀川公害のことを知り、知ったうえで考え、法整備を求める行動につながっていくことを期待してのものです。隣接する古河ケミカルズの工場内ツアーで、現在の環境汚染対策を実際に見る。京都精華大学や第三者の視点からみた西淀川をパネル展示で紹介する。きれいで住みやすい街づくりのための地域構想を提示するなど、行政・企業・地域といった大きな枠でのつながりを主体とする具体的な内容があげられました。

無題 3

 他チームからは「イベントを催すことで本当に住民が公害や環境問題に関心を持ち、法整備へと行動して行けるのか?」「内容が少し硬く感じる。住民は気軽に参加できにくいのではないか」というコメントがでました。それでも、住民自身が自分たちの生活環境を創っていく、住民の行動が企業や国を動かす力を持つのだという想いが伝わってくる発表でした。

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 環境教育実習4日目 発表 チーム・紅茶花伝
 環境教育実習4日目 発表 チーム・マンゴーLASSI

京都精華大学 環境教育実習2日目 山岸公夫さん(元神戸製鋼職員)

・山岸公夫さん(元神戸製鉄所 職員)

山岸さんP8028111 

 西淀川フィールドワークの最後に、元神戸製鉄所職員であり、訴訟担当者であった山岸公夫さんからお話を伺いました。西淀川公害訴訟を会社側の視点から、裁判に臨む上で起こったドラマや裏話、目指したこと等を解りやすく話してくださいました。
 提訴された当時、被告企業10社間で対応組織が準備されたそうですが、企業規模の大小、大気汚染寄与の大小、立地の東西で利害対立が根底にあったため、なかなか一枚岩になれず、その調整役として山岸さんは動いていたそうです。昭和62年頃からは森脇君雄さんら原告側と裏で接触し、「裁判判決だけが西淀川公害の解決方法ではない。他にもうまい解決策があるのではないか」と考えるようになったといいます。その一方で、山岸さんは毎日会社ではなく、被告企業同士で作った会議のための事務所に出勤していたため、社内で忘れられた存在になり出世は有るや無やの状況だったとこぼしていました。その代わり人間として成長しましたと笑っていました。

無題 yamagisisann 

 西淀川公害裁判について、山岸さんは「時代の屈折点における軋みが現れたものであり、この裁判は法的責任追及ではなく、政治的判断が必要な事案だったと思う。だからこそ、この裁判をどのようにして社会的に終わらせるかが大切で、どのような終わらせ方が日本国のためになるかと考えた。」と話していました。
 話を聞いている途中で、当時裁判で闘っていたあおぞら財団会長の森脇君雄さんが訪れたことで、さらに興味深くおもしろい時間を過ごせました。森脇さんは山岸さんが裁判について語った「攻める側(原告)の大変さと守る側(被告企業)の心外さ」の「心外」という部分に引っかかったようでした。山岸さんは訴えられた当時の社会背景(「鉄は国家なり」に表せられるような高度経済成長期)のなかで、企業は日本が豊かになるために努力をしてきた。悪いことをしているつもりはなく、みんな頑張っていた。公害に対する法的仕組み築かれていない中で、後付で煙を出すのはダメだといわれるのは企業として腑に落ちない。法で定められていれば企業はきちんと法を守っていた。だから「心外」という言葉が出てきたのだと仰っていました。これに対して森脇さんは納得がいかないらしく、「心外」という言葉が心外だ、と仰っていました。この会話に2人の観点の違いが表れていると思います。学生たちも2人の話に感化されたのか、帰りの電車の中でも「山岸さんの観点は企業者としてのものであり、森脇さんの観点は西淀川に住む生活者としてのものだ。」「裁判後に原告と被告の立場で争っていた二人が同じ空間でいがみ合わず話し合えるのがすごい」などと語り合っていました。

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 環境教育実習4日目 発表 チーム・スパークリング
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京都精華大学 環境教育実習3日目 発表準備

3日目からは場所を京都精華大学に移し、西淀川での2日間のフィールドワークを踏まえて、パワーポイントとレジュメ作りに取り掛かりました。
 2日間で何を学び、何を感じたか。西淀川公害を知らない人々に私たちは何を伝えられるか。あるいは、これからあおぞら財団や企業は何をしたらいいか、という私達からの提案等を軸に据えて発表に取り組むことになりました。
10人のメンバーを3つのグループに分け、一人ひとりが感じたことをグループ内で共有し、それぞれの観点をすり合わせながら発表に向けて進めていきました。グループのメンバーが3,4人と少ない分、テーマ設定は比較的スムーズにいきましたが、そのテーマを如何に具体的に表現していくか、どこまで現実的に考えられるか、という部分でどのチームも苦労していました。

「チーム・スパークリング」は制度整備の視点から西淀川の問題にアプローチするようです。
「チーム・紅茶花伝」は住民や企業、行政がつながりを深めるためにどうしたらよいか、理念的な部分を考察していきます。
「チーム・マンゴーLASSI」は「伝えること」「知ってもらうこと」をキーワードに、地域住民が気軽に参加できる企画を考えるそうです。
はたして4日の発表はどうなるでしょうか?
教室には授業担当の井上先生が、コーヒーメーカーや冷たい麦茶、あめ玉を用意してくれました。時には井上先生自らコーヒーを片手に様子を見に来てくれたので、息抜きをしながら進めることができました。

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京都精華大学 環境教育実習2日目 西淀川高校

西淀川高校(エコ・コミュニケーション同好会(ECC)【菊池君、百尾君、山崎さん】、辻先生(「環境」担当)、佐伯先生、畑中さん、森脇先生)

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 西淀川高校に赴くと、エコ・コミュニケーション同好会(ECC)の3人と先生方4人が出迎えてくれました。お昼ごはんもクーラーの効いた教室で食べさせてもらい、のんびりとしたアットホームな空気の中話を聞かせてもらいました。
西淀川高校は全国でも珍しく環境教育を「環境」という名で教科として取り入れている学校です。西淀川公害訴訟を背景に、地域について学びながら、生き方を考える教育をしよう!という考えのもと、立ち上げられました。

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 その中でも、ECCの生徒達は学校の早朝清掃を行ったり、地域清掃として2ヶ月に1回学校から出来島駅までをゴミ拾いをしているそうです。さらに、農作物を栽培したり、菜の花を収穫して菜の花プロジェクトにも加わっています。
 プレゼンをしてくれたECCの菊池君、百尾君、山崎さんは、入部当初「環境」に興味を持っていなかったそうですが、大学生から「西淀川の未来はどうなってほしい?」と聞かれると「植物や動物が増えてほしい」「人と人の関係がもっと豊かになってほしい」と答えていました。学生達は「ECCの生徒たちが「やらなければ」という義務感からではなく、「やりたい」と楽しみながら活動しているのが伝わってきた」「西淀川公害の歴史を持つ土地柄を生かしてフィールドワークを増やし、生徒がさらに自分事として考えられるような仕組みを作ったらどうか」と感想を語っていました。
P8028110 ECC

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