大阪市立姫里小学校で、ゲストティーチャーとして大阪市漁業協同組合の北村光弘さんを招いての授業が行われました。北村さんは、淀川親子ハゼ釣り大会では子供達に食べさせたいと淀川でとれたスズキフライ200匹分を準備するなど、行動派の漁師さんです。
4年生の社会科と総合の時間を使った13時間の単元「大阪の発展につくしてきた人々~淀川をつくりかえた人々」の一コマです。姫里小学校の中林先生から淀川の学習について相談をうけ大阪市漁協を紹介、漁協の方も快くひきうけてくださり実現したものです。
授業見学を申し出たところ、学校の様子はできるだけ地域に開きたいという意向をお持ちで、校長先生も快く受け入れて下さいました。
姫里小学校のHPでも、早速漁師さんの授業の様子が公開されていました。ちなみにHPには学校だよりや児童に向けたアンケート結果なども公開しています。学校と保護者、地域が子供達の様子や課題を共有し協力し合って子供を育てていくという強い姿勢に、頭が下がります。
さて、漁師さんの授業はこの春から大学生になる山澤さんが、あおぞら財団のボランティアで記録係として参加。山澤さんのブログ記事をご覧下さい。
(小平)
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2月18日、大阪市立姫里小学校の4年生を対象に環境学習の授業が行われました。
講師は大阪市漁業共同組合の漁師 北村光弘さんです。
「大阪湾の海岸」、「海が汚れる訳」や「クラゲの大量発生」など図や写真を用いながら説明していました。
大阪湾ではクラゲの大発生が問題になっているらしく漁師さんたちも困っているとのことでした。
私もニュースなんかで海が汚染されることによりクラゲが大量発生しているというのは知っていましたが、大阪湾でもそれが問題になっているとは全く知りませんでした。
大阪湾の海岸は、殆どが埋めたてられて、自然海岸が1%、半自然海岸が5%しかないそうです。クラゲが打ち上げられる砂浜があると、自然に数が淘汰されるのですが、大阪湾がそれができないことも一因だと話をしていました。
北村さんのお話は知らないことばかりでとても為になったのですが、中でも驚いたのは「大阪再生プロジェクト」のお話でした。
そのプロジェクトでは、稚魚を大阪湾に返す活動をしたり、小さなプールに大阪湾に住む魚を放して子どもたちに触って知ってもらったりする活動を漁師さんたち自身が行っているということです。
正直、その話を聞くまでの私の漁師は、早朝から漁に出てただひたすら魚を獲るイメージでした。
しかし、漁師さんたちが自分自身で大阪湾や淀川の環境問題に取り組んでいるとは意外でしたし、驚きました。
途中、北村さんが撮った漁の動画も見ました。
船についているレーダーで雨が降るタイミングを知ることができたり、と動画を見ながら説明してくださいました。
やはり教科書やプリントで学ぶだけでなく現場の人の話を聞いたり、動画を見たりすることによって、より多くのことを学べるなと感じました。
最後に質問コーナーが設けられ北村さんに多くの質問が寄せられました。
「淀川の名前のは?」という知っていそうで意外と知らないものから「一番好きな魚は?」といった質問から様々で聞いていても楽しかったです。
いくつか、質問を紹介します。
Q:なぜ漁師になったのですか?
A:大学進学や企業への就職など、両親は自由に選ばせてくれいろいろな道があったが、小さい頃から手伝っていた漁師になりたいと思った。
Q:淀川への思いは?
A:淀川で泳いで遊んだり小さい頃から慣れ親しんんだ川。その淀川を見た目が綺麗なだけではなく、「豊かな川」に戻したいと思っています。それなので、淀川の環境問題に取り組んでいます。
Q:どうして魚は移動するのですか?
A:魚にとってすみやすい環境をみつけて移動しています。
Q:1日にどれくらいとれるのですか。
A:一番多くとれるのはちりめんじゃこになるイワシ類で、最大で25kg~30kgの入れ物に700個とれたことがあります。(縮緬じゃこにもなる)イカナゴは、夏場は砂地にもぐり仮眠して、暑い季節を過ごす習性があります。仮眠できる砂場がないと、全滅してしまいます。増やすのは大変ですが、なくなるのは簡単です。
Q:漁師さんは何人くらいいますか?
A:大阪府全体で24組合があり、大阪府下で1500人くらいいます。そのうち50才以下は240人なので、若手が少ないです。
おわりに、「漁師は海と環境の番人―各地に漁師がいることは、海と環境の番人がいることと同じ」と締めくくっていました。
普段、漁師さんから実際に話を聞く機会はないですし、貴重なお話しを聞けて良かったです。
クイズを交えながら和やかな雰囲気のなか、子どもたちも真剣なまなざしで北村さんのお話を聞いていました。
(ボランティア 山澤)