あおぞら財団での環境省職員研修2日目の報告です。(1日目の報告はこちら)
【2日目 フィールドワーク、企業関係者のお話、研修のまとめ】
二日目の研修は、西淀川と尼崎の工業地帯、そして西淀川の地区の実態を、バスで移動しながら見学します。
バスツアーのスタート前に、公害資料館「エコミューズ」と公害資料書庫で過去の公害に関する資料を見ていただきました。資料を通して、再び公害歴史の重さ、アーカイブの重要性を学びました。
その後、バスに乗り国道43号線沿いへ。ここはかつて「公害道路」とも呼ばれた場所で、現在はロードプライシングの導入や大型車の通行ルート変更、制限速度の引き下げなどによって、騒音や大気汚染の軽減が図られています。現地では国土交通省近畿地方整備局の方から、これまでの取り組みを詳しく説明していただきました。
バスでのフィールドワークを終えたあと、大野川緑陰道路を散策しました。
この遊歩道は、かつて工場や家庭からの排水で汚染されていた川を埋め立て、市民の「緑の道にしてほしい」という声に応えて整備されたものです。
歩きながら、地域の再生やまちづくりに込められた人々の思いと努力を肌で感じてもらいました。
その後、あおぞら財団理事、元神戸製鋼所訴訟担当の山岸公夫さんが、企業側の目線から、西淀川大気汚染公害訴訟をどう見ていたのかという話がされました。それに対して「10社の被告企業はどんな連携をとったのか」、「行政が果たすべきだった役割は?」などの質問が出されました。
あっという間に研修の最後になりました。一日目の振り返りと同じように、ワークショップして、設定した課題を達成したかをチェックし、最後は「KP法」で発表していただきます。
いずれのグループも「話し合い」の重要性を強調しており、いかに公害経験を継承するか、いかに公害・環境問題の解決を「自分事」にして考えるのかについて、様々な知見の発表がありました。
最後、自分が気に入るキーワードにシールで「いいね」を押して頂きました。
印象的だったのは、「対話と本音」。また、「一家総出抱きしめ作戦(環境省だけでなく、他省庁も巻き込んで動こう)」といったユニークで深いキーワードが出てきました。
公害問題は、日本の環境行政の原点。今回の研修で得た学びや気づきを、ぜひ皆さん自身の仕事の中で生かしていただきたいと思います。
(記・あおぞら財団アルバイト 王子常)