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» 2017 » 2月

環境省職員 現地研修受入 1日目(2/9)

あおぞら財団ではここ数年、毎年、環境省職員環境問題史現地研修の受け入れを行っています。今回の研修は2月9日~10日にかけて行われ、環境省職員の方が10名・環境再生保全機構の方が2名、計12名が参加されました。公害患者の池永末子さんのお話、弁護団の村松昭夫先生のお話、「西淀川公害患者と家族の会」事務局長・上田敏幸さんのお話、西淀川のフィールドワークなど2日間に分けて研修が行われました。

2日目の記事はこちら 

 

まずはお互いの自己紹介からスタートです。

 

お名前、今回の研修に期待すること、業務内容、自分の考える環境省職員の役割を紙に書きます。

お名前、今回の研修に期待すること、業務内容、自分の考える環境省職員の役割を紙に書きます。

 

 

今回の研修に期待することとして、現場に行って、公害患者さんの声を聞いてみたいという意見が多く出されました。

 

まず、あおぞら財団の林さんから「西淀川公害、地域再生について」というテーマで講義がありました。講義は「戦前の公害といえば?」という問いかけを交え、日本の公害の歴史を振り返ることからはじまりました。全国の公害と公害訴訟の話から、西淀川の歴史と公害や公害患者さんの証言、あおぞら財団の理念について説明がありました。

西淀川公害裁判では環境を再生し、孫や子へ良い環境を手渡すこと目標に掲げました。西淀川公害訴訟の和解金の一部を基金にあおぞら財団が設立されます。林さんはあおぞら財団の役割はステークホルダーをつなぐことであると説明しました。

講義をしている林さん。

講義をしている林さん。

 

林さんの講義の次には、公害患者の語り部さん・池永末子さんからのお話がありました。

昔の西淀川・公害の様子、病気の苦しみ、公害反対運動、及び今の健康状態や暮らしについてお話をしていただきました。

 お話をされる池永さん。タスキをかけておられます。右は上田敏幸さん。


お話をされる池永さん。タスキをかけておられます。右は上田敏幸さん。

池永さんが西淀川に来たのは二十歳すぎの時で、洗濯物や物干し竿やばい煙で汚れ、掃除を欠かすことがなかったそうです。

池永さんは、ご自身がぜん息になる前に娘さんも公害患者さんで、小学校中学校の時は、学校を休んで病院に行かなければならないことも多かったそうです。その後ご自身もぜん息になったことで、子供さんがしんどい思いをしていたことを改めて実感したとおっしゃっていました。

池永さんご自身は未認定患者さんであるため、医療費が実費負担となり経済的な負担が大きかったことから、発作が出ても病院に行くのを我慢して悪化してしまうこともあったそうです。

患者さんにとって、医療費があるかどうかというのは大きなハードルになっており、未認定患者さんに対する救済制度が欲しいというのが公害患者の会の要求にも上がるところである、ということでした。

保育所で先生として働いていらっしゃった池永さんは、仕事に行く前は薬を飲む、仕事中に体調が悪くなった時は吸入器を使ったりしていたそうです。

吸入器を見せてくださいました。画面端の紫の器具です。

吸入器を見せてくださいました。画面端の紫の器具です。

 

皆さん熱心にお話を聞いています。

皆さん熱心にお話を聞いています。

 

 

【質疑応答】

Q:保育所で働いていらっしゃったとのことだが、預かっていたお子さんにもぜん息の子どもがいたのか?

A:自分がぜん息の患者であったため、ぜん息の症状がわかる。そういう子供たちの対応もしていた。

林さん補足:池永さんは小学校に語り部に行っているが、教え子がいる。池永さんがぜん息であったことを教え子達は知らない為、驚かれることがある。

 

Q:クラスにお子さんと同じ様に公害患者さんだった人はいたと思うが、親同士のつながり

はあったのか?

A:その当時自分が公害患者であるということを言いたがらない、隠す人が多かったためそれほどなかったと思う。

上田さん補足:公害患者に対する差別もあった。そのため、結婚や就職など子供の将来に影響を及ぼすのではないかと考え、自分の子供が公害認定患者であることを隠すこともあった。認定そのものを受けなかった人もたくさんいる。しかし、現場の教員、保健師、養護教諭が集団で話し合いをしてサポートしたというのも西淀川の地域の特徴でもある。子供たちのぜん息が一番多かった時期は、西淀川の地域だけ養護教諭が複数で配置をされたり、空気清浄機をつけたり等の措置がとられた。これらの願いを行政に伝え実現することができたのは患者会、あるいは地域の人たちや教員のバックアップがあったからである。

 

その後、あおぞら財団の現理事長である弁護士の村松昭夫先生のお話がありました。会場を5階のエコミューズに移して行いました。

 

村松先生は、日本の大気汚染公害訴訟の経過と内容・環境政策・公害裁判になぜ患者さんたちが取り組んだのかということを患者の方と共に裁判に取り組んだ弁護士の立場から、お話してくださいました。

 

村松先生

村松先生

日本の大気汚染公害裁判は四日市の公害訴訟から始まり、この裁判の判決を契機に公害健康被害補償法が制定されました。この制度は汚染者負担の原則[PPP]に立ったものであり、世界的にも類を見ない環境政策でした。当時日本の至る所で大気汚染が深刻な問題となっており、公害患者の皆さんは患者会を結成等様々な運動を行っていましたが、四日市判決が励ましになり、各地の裁判に影響を与えました。

西淀川の大気汚染は都市型複合汚染であり、被害の責任追及や因果関係の証明が困難であったため、疫学調査や共同不法行為論を利用して裁判を行ったそうです。西淀川の大気汚染裁判の和解金の一部は、公害により破壊された地域再生のためにあおぞら財団の設立に充てられました。環境再生の問題に最初に注目し、行動したのが西淀川であり、後の大気汚染裁判に影響を与えたと述べられていました。西淀川の公害裁判は弁護士主導型ではなく、患者主導型であったそうです。そして、村松先生は、患者さんや弁護士がなぜ長期にわたる裁判を戦い抜くことができたのかということを振り返って、お金のためだけでなく、被害を救済しなければならないという人間的な心情や、患者さん達が自分の受けた被害を次の世代が受けないようにという思いを持ち続けていたからではないかとおっしゃっていました。

 

【質疑応答】

Q:二十数年間という長期間の裁判を戦うことができたモチベーションとその維持の方法は?

A;弁護士側のモチベーションとしては、弁護士は自分の能力を社会正義に生かしたいという気持ちがあった。また、こういった裁判を皆で協力し、解決していくということは弁護士としても非常に重要であり、その根底にあるのは被害者の方を見て、彼らの思いに報いたいという人間的な心情だったと思う。集団で裁判に取り組んだことでモチベーションを保ち続けることができたと思う。

 

Q:裁判中に世論を味方につけるためにどのような取り組みを行ったか。

A:裁判が長期化すると、被害や問題そのものが忘れられてしまう可能性がある。そうならないために、マスコミに訴えたり、署名活動を何度も行ってきた。

 

次に「西淀川公害患者と家族の会」事務局長・上田敏幸さんのお話がありました。

始めに上田さんから、公害患者さんの前田春彦さんの報告の紹介がありました。

お話をされる上田さん。

お話をされる上田さん。

 

上田さんは、当たり前のことが奪われる、回復の見込みがないためその当たり前が不可逆的に奪われることが公害病の特徴であるとおっしゃっていました。上田さんは30年近く患者さん達とともに活動してきて一番大事なのは「対話」であると感じていると述べられていました。『手渡したいのは青い空』という本を作ったのが西淀川の公害被害者と関わった最初だったそうです。これは被害をまとめ、患者の方は何をよりどころに戦っているかということをまとめた本です。本を作った後の役割は、百万署名推進委員長として、裁判を起こした人たちが共有している被害を受けとめて、共感する人を署名という形で増やす運動を行ったということです。136万もの署名を集めたそうです。一方で企業と折り合いをつけるために対話の窓口を作る仕事を行ってきました。対話というのは相手も対話をする意思がないと成立しないため、企業内に対話の意思を持つ人が見つかったことで、和解への道を作ることができたともおっしゃっていました。その時に関わった企業の人の中には今でも交流がある人がいるそうです。

 

【質疑応答】

Q:数十年にわたる裁判を可能にした患者さんのモチベーションはどのように維持されていたか?

A:「当たり前」が奪われることが一番辛いことであり、自分にはたとえ間に合わなくても、子や孫につらい思いをさせたくないという強い思いがあった。そういった他者への思いやりがあり、それを患者間で共有してきたため、続けることができたのではないか。

 

 

最後に振り返りのワークショップを行いました。一日が終わり、気づいたことを話し合って、2日目のフィールドワークに向けて問題意識の近い人達でグループごとに分かれました。

 

今日学んだことを振り返り、共有します。

今日学んだことを振り返り、共有します。

 

二日目は西淀川のフィールドワークが中心の研修となります。

 

 

今回の研修に参加させていただき、自分自身も大変勉強になりました。

公害の被害が人の体だけでなく人間関係や地域コミュニティにも長期間影響を与え続ける根深い問題なのだとあたらめて実感しました。同時に次世代に良い環境を残そうと未来を見据え、戦い、あるいは対話を続けてこられた方達のおかげで今があるのだと感じました。

今回の研修では「共有」が一つのキーワードだったように思います。被害の体験の共有、理念の共有などを通して協力し合い、課題を解決していく。このことは今現在にもある環境問題等を解決する手がかりになるのではないかと考えました。(村山)

月刊 あおぞら 2017年2月号

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あおぞらExpress メール通信Vol.942        発行:あおぞら財団
   [ 月刊 あおぞら 2017年2月号 ]
 毎月一度お届けします、あおぞら財団の活動報告です
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【1】今月のトピックス
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【2】これまでの活動報告
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【3】イベントのお知らせ
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【4】各種の募集情報
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【1】今月のトピックス
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  にしよどがわ子ども乗せ自転車座談会を開催中
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保育園や幼稚園への送迎、買い物など、あらゆる場面において、子育て層に
とって自転車は重要な交通手段です。その一方で、子乗せ自転車が事故に
遭遇した場合、大人ではなく子どものほうが重傷を負ったり死亡にいたる
リスクが高くなっています。
子ども乗せ自転車を安全に使うための情報を共有するために、あおぞら財団
では自転車座談会を行っています。子ども乗せ自転車に興味のある方は
ぜひご参加ください。
        ↓↓↓詳しくはコチラ↓↓↓
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【2】これまでの活動報告
◆……………………………………………………………………[交通まちづくり]
「近畿圏の新たな高速道路料金の具体案」に対する意見を提出(1/10)
タンデム自転車の活動 いくつか発表しています(2/3)
にしよどがわ子ども乗せ自転車座談会を開催しました(2/8)
子ども乗せ自転車座談会inにっこりRoomを開催しました(2/9)
◆……………………………………………………………………[地域づくり]
1/25、2/8 あおぞら市開催しました
みてアート2016写真展@西淀川図書館(1/27~3月中旬)
◆……………………………………………………………………[環境学習]
西淀中学校職場体験(1/25・26)
【2/4】矢倉海岸 定例探鳥会
第1回中島大水道の古文書にふれる会(11/13)
◆……………………………………………………………………[環境保健]
「COPDの早期発見への取り組み」のページを更新しました(1/17)
楽らく呼吸会(千北・姫島診療所)で禁煙について(1/12、1/19)
◆……………………………………………………………………[国際交流]
中国環境NGO研修受入 1日目(12/20)
中国環境NGO研修受入 2日目(12/21)
日中環境問題サロン「中国の公害・環境問題と環境NGOの取り組み」(12/21)
中国青空新聞vol.3を発行しました(1/16)
◆……………………………………………………………………[資料館]
実践から学ぶコミュニティ・オーガナイジング!(2/11・12)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【3】イベントのお知らせ
◆……………………………………………………………………[交通まちづくり]
「前輪2輪タンデム自転車」の試乗にご協力ください
乳幼児連れ、高齢者の自転車利用調査にご協力ください!
【3/25】第2回あおぞらセミナー「学級開きのための活動紹介」
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【4】各種の募集情報
◆………………………………………………………………………[環境学習]
「今も昔も住民がまちづくり 中島大水道まち歩きマップ」販売中!
かつて大阪市東淀川区、淀川区、西淀川区を流れていた中島大水道の歴史や
現在の水道跡を歩くための情報を掲載した「まち歩きマップ」を中島水道サロ
ンで作成しました。頒価200円で販売しています。
◆………………………………………………………………………[重点事業]
あおぞら財団もgooddoに参加しています!
上記のリンクからgooddoの公害地域再生センター(あおぞら財団)のページに
行き、ページ右にある赤い「応援する!」ボタンを毎日クリックをしていただ
くだけで、支援金があおぞら財団に届けられます。
その他、fecebookのあおぞら財団ページへの投稿をシェアいただく形の支援方
法もあります。応援よろしくお願いいたします!
(編集後記)
現在、高齢者や子ども乗せ自転車の調査をしています。この取り組みを通して、
私自身が自転車ルールをわかっていないことがよくわかりました。車道の左側
通行、歩道では車道側を徐行、交差点では安全確認など基本的なことですが、
最近は安全に気を付けて自転車に乗るようになってきました。
調査を通してとても興味深かったのは、認識と行動は一致しないということで
す。この調査では、自転車で走行している様子を後ろからビデオカメラでスト
ーカーのように追いかけて動画撮影するという調査をしているのですが、アン
ケートで交通ルールをしっかり守っていると回答した人であっても、実際には
ルールを守りきれていない人がいます。こういった人間に認識と行動の間にギ
ャップが生じてしまうのは、その人本人に理由があることもありますが、自転
車走行環境がきちんと整備されていないことにも要因にありそうです。この調
査を通して、自転車を安全に乗れる社会環境を考えていきたいです。
(KT)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■編集発行
【発行元】公益財団法人 公害地域再生センター(あおぞら財団)
【発行日】2017年2月13日
【住 所】〒555-0013 大阪市西淀川区千舟1-1-1あおぞらビル4階
【TEL】06-6475-8885
【FAX】06-6478-5885
【E-mail】webmaster[at]aozora.or.jp([at]を@に変えてください)
【URL】http://www.aozora.or.jp
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■月刊あおぞらについて
あおぞら財団の活動報告やイベントなどの最新情報などを皆様にお伝えすることを目的に、月に一度、情報発信させて頂いています。
本メールは、あおぞら財団の会員、メーリングリストにお申込いただいた方およびあおぞら財団のイベントや研究会などで名刺交換させて頂いた皆様にも送信させていただいております。

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Filed under: イベント報告・ホームページ更新 — aozorafoundation 公開日 2017/02/15(水) 09:57

子ども乗せ自転車座談会inにっこりRoomを開催しました(2/9)

2月9日に、大和田のにっこりRoomで子ども乗せ自転車座談会を開催しました。

日時=2017年2月9日(木)10:30~11:30

場所=にっこりRoom(おおわだ)

主催=あおぞら財団

協力=NPO法人にしよどにこネット

今回の自転車座談会ではあいにくの雨でしたが、4名の子育て層の方々に来てくださり、交通ルールの再認識、自転車での走行時における危ない場所など、意見交換をして情報を共有しました。

今回は1歳前後の赤ちゃんのお母さんが多く、子ども乗せ自転車に乗っている方は1人、残りの3人の方は子ども乗せ自転車の購入を検討しているとのことでした。

【内容】

①ついやってしまう危ない運転! 自転車交通クイズ

最初に、来て下さった方たちがどれくらい交通ルールを知っているかを確認するために、自転車交通クイズを行いました。クイズでは、自転車走行調査の結果から、やってしまいがちな危ない自転車運転、交通ルール違反のシーンを写真で7枚見せました。写真を見ながら、どこが危ないのか、どうしたほうが安全に乗れるのかを考えてもらいました。13歳未満の子どもはヘルメット着用が努力義務であること、自転車は車道の左側を通行するのが基本といったことをご存じじゃない方が多く、クイズで示した交通ルールに対して驚きの声が上がりました。

また、自転車は歩行者などを傷つける可能性がある乗り物であること、そのためには交通ルールを守ることが大事であることや自転車保険の必要性についてもお話しました。

 

写真を用いて交通ルールについてクイズをしている写真

写真を用いて交通ルールについてクイズ

②自転車ヒヤリハットマップの作成

次に、大きなマップを用いてそれぞれがお互いが危ないと思った危険な場所にしるしをつけ、自転車ヒヤリハットマップを作成しました。今回は子ども乗せ自転車にまだ乗っておられない方が多かったのですが、歩行者目線からも「小学校の近くは子どもがたくさんいて、こちらの様子も見ずに飛び出したりするから危ない」、「ここの道路は、今は工事車両がたくさん行き交っていて危ない」、「国道43号を横断する時に歩いてなら地下歩道を利用できていたけれど、スロープがないから不便」といったそこに住んでいないと分からないような具体的な危険な場所など情報を共有することができました。

安全マップを作成している様子

みんなで自転車ヒヤリハットマップを作成しています

 

③子ども乗せ自転車の選び方

最後に、これから子ども乗せ自転車の購入を考えたいというお母さん方のために、子ども乗せ自転車の選び方をお話ししました。

今の子ども乗せ自転車は昔の子ども乗せ自転車と全く違っています。昔の子ども乗せ自転車は、ハンドルがふらつく、倒れやすい、ペダルが重いといった難点があったのですが、今はハンドルの回転軸の真上に前シートを置くなどふらつきにくい構造になっており、駐輪時も安定していたり、かなり進化しています。

選ぶときには、次のことを考慮する必要があります。

  • 乗る人の身長、子どもの人数、チャイルドシートの形状、使い方(買い物、通園、仕事など)、走行距離、荷物の有無、駐輪場の形状、バッテリー容量、価格などを考慮します。。
  • 各モデルには、適応身長の目安が設定されている。低重心で安定する20型、長身の人向けには26型もある。背が高い男性の場合だと24型以上になる。
  • チャイルドシートは、前子乗せタイプだと15kg以下、後ろ子乗せタイプだと20-22kg以下。
  • 電動アシスト自転車はのぼり坂もらくらくに走れる。バッテリーは、走行距離によって選択する。
  • 駐輪場について:子乗せ自転車はタイヤが太い場合が多いので、駐輪場に入らない場合がある。形状が合わない場合は細いタイヤに変えることになる。
  • 試乗をさせてくれる自転車屋さんがあるので、試乗したほうがいい。

にこネットスタッフに子どもを自転車の前後に乗せる三人乗り自転車を使っている方がおられ、自転車をどうやって選んだのか、普通の自転車と今の子ども乗せ自転車ではどう違うのかといったことを具体的な体験談をもとにして話してくださいました。

子ども乗せ電動自転車の値段を伝えると「思っていたよりも高い!」と驚く方もおられましたが、 これから自転車を買う際の参考になったようです。

 

この日は1歳前後の赤ちゃんも一緒にいる中で話し合ったのもあって、和気あいあいとにこやかな雰囲気の会になりました。

次は、

2月22日(水) 10:30~11:30 にっこりRoomふくまち

にて、子ども乗せ自転車座談会を予定しております 。

普段から子ども乗せ自転車に乗っておられる方、これから子ども乗せ自転車を買おうとしている方はぜひご参加ください。

 

NPO法人にしよどにこネットさんもブログに記事をあげてくれました (報告)おおわだ 子ども乗せ自転車座談会

【今までの取り組み】

にしよどがわ子ども乗せ自転車座談会を開催しました(2/8)

※この取り組みは、公益財団法人交通エコロジーモビリティ財団の平成28年度ECOMO交通バリアフリー研究助成を受けて実施しています。

Filed under: イベント報告・ホームページ更新 | 地域づくり | 自転車まちづくり — aozorafoundation 公開日 2017/02/10(金) 12:09

にしよどがわ子ども乗せ自転車座談会を開催しました(2/8)

2月8日に、にしよどがわ子ども乗せ自転車座談会を開催しました。

日時=2017年2月8日(水)10:00~11:30

場所=あおぞらビル会議室

主催=あおぞら財団

今回の自転車座談会では、子ども乗せ自転車を利用している柏里在住の5名の子育て中のお母さん方に参加していただき、自転車利用について日頃感じていることや交通ルールの再確認などを行いました。子ども乗せ自転車利用者ならではの気づきや本音を交えた意見交換を行いました。

今回の参加者の方々は、12月~1月に実施した自転車走行調査にご協力いただいた方々が中心です。

【内容】

①自転車走行調査の動画を観ました

まず、最初に自転車走行調査で撮影した動画をみんなで観ました。この自転車走行調査では、普段よく利用している道を普段通り走行している様子を後ろから追いかけてビデオで撮影するというものです。自転車で走っている様子を撮影した動画を見ながら、映っている本人にこの時にどうしてこういう行動をとったのか?といったことを話してもらったり、参加者同士でこの交差点が見通しが悪くて危ない、この道は交通量が多くて危ないといった交通状況などを話し合ったりしました。

話し合いの中で、個々だけが守るルールはかえって危険のように感じるという意見も出ました。ですが、大きな事故に遭った時に責任が問われるのは交通ルールを守っていない方であり、自分たちから交通ルールを率先して守ることで、周りに交通ルールを守る人が増えるようにしていくことが大事ではないかという意見もありました。

また、子どもたちに自転車を安全に乗ってもらうためには、自転車教育が大切という話が出ました。地元の事故例を挙げて自転車が歩行者などほかの人を傷つける乗り物になりかねないことを教え、その上で交通ルールを教えると効果的なのではなという意見もありました。

 

走行ビデオを見ている様子の写真

走行ビデオを見ている様子

 

②自転車ヒヤリハットマップの作成

動画をみたあとは、西淀川区内の地図に、自転車に乗っていて危ないと感じた場所、普段から気を付けている箇所などを書き込みました。

「この交差点は見通しが悪いのでミラーをつけてほしい」、「この道は歩道が狭いけれど、トラックの通行量が多くて車道を通るのは難しい」、「ここは信号から遠いから道路を横断する歩行者も多く、危険」「駅付近では車、自転車の交通量だけでなく歩行者も多い、中には電車の時間に合わせて、急いでいる人もいるため注意が必要」など、地元のことをよく知って、普段から自転車に乗っている人ならではの意見がたくさん出ました。

歩行者専用道路である大野川緑陰道路は、自転車が走行しやすい安全な道だと思われていますが、ここで子どもを乗せた状態で転倒したお母さんがおられました。転倒した際は、「緑陰道路で対向自転車を避けるため、脇に寄り、落ち葉を踏んでスリップした。子どもが乗っているとバランスを崩した時に立て直すのが難しい」といったお話も出ました。こういう危ない目に遭った時に、お子さんにちゃんとシートベルトをかけているか、ヘルメットをさせているかで、お子さんの怪我の度合いも異なってきます。

マップを作成している様子の写真

マップを作成している様子

今回の自転車座談会では、自分が自転車を走行している様子を見るのは初めてなので、客観的に自分を見ることができてとてもよかったという感想をいただきました。 また、お母さん同士で自転車の安全について情報を共有したりする機会はなかなかないので、自転車の交通安全について考えるよい機会になったようです。

※この取り組みは、公益財団法人交通エコロジーモビリティ財団の平成28年度ECOMO交通バリアフリー研究助成を受けて実施しています。

Filed under: イベント報告・ホームページ更新 | 地域づくり | 自転車まちづくり — aozorafoundation 公開日 2017/02/09(木) 02:45

タンデム自転車の活動 いくつか発表しています

※「大阪でタンデム自転車を楽しむ会」の記事の転載です。

タンデム自転車の活動については、おかげさまで昨年からいくつか発表の機会を得ることができました。

2016年の2月は台湾でポスターセッション、同年7月には日本都市計画学会関西支部で発表、今年に入って『おおさかの住民と自治』(2017年2月号)に掲載いただきました。

●2016年2月29日発表/自転車の世界会議「Velo-City 2016」(台湾)ポスターセッション
「Potential Benefit of Tandem Bicycles Use for the Disabilities」
Yoriko YARIYAMA, Itaru FUJIE and Nagahiro YOSHIDA

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●2016年7月30日発表/日本都市計画学会関西支部
「移動困難者を対象としたタンデム自転車の日常利用ニーズと課題」
鎗山善理子、吉田長裕、藤江徹
http://www.cpij-kansai.jp/cmt_kenhap/top/2016/27.pdf

●2017年2月15日発行/おおさかの住民と自治
「大阪の公道でタンデム自転車が走れるようになりました」
鎗山善理子

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http://www.oskjichi.or.jp/modules/publication/osakano.html

これらは、2015年より大阪市立大学の吉田長裕先生の協力により、あおぞら財団や大阪でタンデム自転車を楽しむ会が実施している「タンデム自転車の利用に関するアンケート」や2016年8月から大阪府内の公道でタンデム自転車が走行可能になった取り組みがもとになっています。

これからも積み重ねてきた活動をより広く発信していけたらと思います。

記・鎗山善理子(あおぞら財団スタッフ)

※あおぞら財団は大阪でタンデム自転車を楽しむ会の事務局です。

大阪でタンデム自転車を楽しむ会
【HP】http://www.tandem-osaka.com/
【FB】http://www.facebook.com/osaka.tandem
〒555-0013 大阪市西淀川区千舟1-1-1あおぞらビル4階(あおぞら財団内)
TEL:06-6475-8885 FAX:06-6478-5885
webmaster@aozora.or.jp

Filed under: イベント報告・ホームページ更新 | 地域づくり | タンデム自転車 | 地域づくり — aozorafoundation 公開日 2017/02/03(金) 07:45
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