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ブログカテゴリー » 資料館(エコミューズ)

1/22~1/24 ベトナム環境NGO研修受け入れ

あおぞら財団は、大気汚染経験等情報発信業務の一環で、今年度(2024年度)2025年1月22日(水)~1月24日(金)の3日間に、ベトナムの環境NGOメンバーを日本に招き、日越公害・環境問題に関する研修を実施しました。

本研修プログラムでは、西淀川地域をフィールドとして、日本での大気汚染公害の経験をベトナムの環境NGOメンバーに理解してもらい、環境問題の解決に役立ててもらうことを目的としています。

訪問メンバー:
1.DO VAN NGUYET氏 (Director of Center of Live and Learn for Environment and Community)
2.NGUYEN THI PHUONG NHUNG氏 (Citizen Science Program Coordinator at Center of Live and Learn for Environment and Community)

 

一日目.西淀川公害とあおぞら財団

初日の研修として、午前にはあおぞらビル5階のあおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)で、事務局長藤江が西淀川地域での大気汚染公害と裁判、あおぞら財団立ち上げの経緯を紹介しました。ベトナム訪問団から自らの関心分野と問題意識を共有し、日越の環境・公害問題の対策について意見交換を行いました。

最初の挨拶

その後、公害患者の語り部の岡崎久女さんと西淀川公害患者と家族の会の事務局長上田敏幸さんの公害経験を聞きました。

公害患者の生の声を聴く

公害による汚染でどぶ川となった大野川を再生して緑陰道路として復活された経緯と、災害に備えている西淀川地区の現状を知ってもらうため、タンデム自転車で西淀川地域を巡る見学を行いました。大野川緑陰道路に沿って、淀川堤防まで走りました。途中に、地下の大放水路、西淀工場、淀川堤防、大気汚染物質監視装置などを見学しました。

タンデムで西淀川区フィールドワーク

あおぞら財団に所蔵している西淀川公害や訴訟資料を閲覧しました。一次資料を自分の目で確認し、公害問題に苦しむ市民の実情や公害訴訟を行う決意が感じられました。

資料館見学

 

二日目.大阪市環境局、舞洲ごみ焼却場、津波・高潮ステーション

研修の二日目午前10時、大阪南港ATCにある大阪市環境局を訪問しました。大阪市環境局環境管理部環境管理課の方が、大阪の大気汚染の状況と対策取組の変遷について紹介しました。

大阪市環境局訪問

その後、舞洲にある、童話のお城のような外見を持つ舞洲ごみ焼却場に訪問しました。いかに安全にゴミを焼却するのか、サーマルリサイクルで生じたエネルギーをどう活かすのかなどについて説明を受けました。

舞洲ごみ焼却場

海に囲まれた島国である日本は、地震の二次災害である津波と高潮による災害がよくあります。津波や高潮はどのように人の生活に衝撃を与えるのか、また、この災害を防ぐためにどのような取り組みがあるのかを見学するため、大阪市西区にある津波・高潮ステーションに訪問しました。

高潮津波ステーション

 

三日目.京のエコロジーセンター

研修の終日に、京都府伏見区にある環境教育施設「京のエコロジーセンター」に訪問しました。京エコロジーセンターは環境学習と環境保全活動の拠点であり、市民地球温暖化防止に取り組む場として活用されています。そこで太陽光発電、たい肥作り、雨水利用、ごみ減量など環境にやさしい行動の事例を学びました。

京エコロジーセンター

 

 

(記:王子常)

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大気汚染経験等情報発信業務(環境省)は、経済活動と公害・環境問題の解決の両立をテーマに、日本における公害経験やそれに関連する資料・情報をアジア諸国と共有するため、情報発信・人的交流を行うものです。その一環として、日越環境問題交流を行いました。

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アジア各国では、現在進行形で、様々な公害・環境問題が発生しています。
その中で、自分たちの住み暮らす地域の環境を良くしていこう!と取り組む人々がいます。

あおぞら財団の国際交流活動を通じてつながったアジア各地の環境活動を報告・紹介するページ「アジアの環境活動でつながろう」を新たに作成しました。
それぞれの取組みを知り、学び、つながることで、活動の輪を広げていきましょう。

ぜひご覧ください。

https://aozora.or.jp/kokusai

エコミューズ館長日記No.18

長い寒波がようやくおさまり始めるが、作業する部屋はやっぱり寒波が襲来のままだ。ストーブを付け、エアコンを付け、夕方になってやっと暖かくなってきた。

第5章の編集を考えなおした。裁判の開始を迎えた大勢の原告たちに焦点をあてて、その動きがわかる資料を中心に置くことにした。幸い今までに調査していた資料がすべて利用できる。ただ、「証拠保全事件」に関する資料については大いに悩まされた。原因は原資料の所在を確認するのに手間取ったからである。原資料を見れば事情はすぐにわかった。原告側のうち3人の症状の重いことを強調し、生きているうちに尋問を終わらせたいというので、裁判所に強く語りかけたもの。被告側から厳しい反駁の文章も綴られている。大変な努力を原告側はしたのだと改めて思った。

続いてウェブ版について、見本組が業者さんから提出されたので検討した。ミナコさんが画面に映して、2人でああだこうだとその形状について議論を重ねて対応を考えた。個別資料の表題をどうするか、資料の名称だけでは中身が十分に伝わらないことも明らかになった。中身が明瞭でない資料名だけだと、内容がわかりにくい。これをよく考えるべきかと思った。次にウェブ版を作った事情・その特質等を十数行で説明する文章を作った。元は40行ほどあったものであろう(ほんまかいな)。ウェブ版は検索がきくので、実に重宝であることも発見する。形が整うのが楽しみだ。

清水万由子先生(龍谷大学政策学部教授)から『「公害地域再生」とは何か―大阪・西淀川「あおぞら財団」の軌跡と未来』(藤原書店)を財団理事長の手紙をつけて頂いた。A5版290ページ、初めての単著である。あおぞら財団を素材にした研究。ちょうど今編集している西淀川公害資料集の対象とする財団成立期以降を論じたもの。2冊合わせて財団のすべてがわかるとおもった。今日はうちに帰ったら目を通すつもりだ。

ようやく部屋が暖まってきたころにここを出ることができるようになった。

2025.2.25 小田康徳

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【藤原書店のサイト】清水万由子 著 「公害地域再生」とは何か―大阪・西淀川「あおぞら財団」の軌跡と未来
https://www.fujiwara-shoten-store.jp/SHOP/9784865784503.html

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あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)では、西淀川公害がわかる資料集を作成しようと、ほぼ毎週、小田康徳館長が来館し、調査作業を進めています。そのようすを「エコミューズ館長日記」にてお届けします。

【ご寄附のお願い】「西淀川公害がわかる資料集」のための寄附を募集しています。どうぞみなさまの寄附でこの活動を支えていただきますようお願いいたします。
■寄附の方法はこちら https://www.aozora.or.jp/ecomuse/contibution_doner

※資料集のウェブ版作成には、(独法)環境再生保全機構地球環境基金助成金を活用しています。

#おもろいわ西淀川
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#エコミューズ
#西淀川公害がわかる資料集

エコミューズ館長日記No.17

今日は朝から賑やかに意見を交わした日であった。午前中はエコミューズの定例会議、引き続いて資料の勉強会があった。

定例会議では、今作っている資料集の出版費に対する寄付について様々な意見が出た。印刷部数・値段等、それから寄付の意味といったところである。改めて、方向性を決めようということになった。近々お願いの文章が出てくることになると思いますが、その時はよろしくお願いします。

続いて、資料の勉強会が行われた。いつも元気なミナコさんが「関連共同性」に関して、資料からわかることを、資料を4点あげて論じてくれた。①は1975年6月発行の大阪弁護士会公害対策委員会編の「大気汚染-大阪西淀川における実態調査報告第一号」、②は1978年4月の「訴状」、③は1979年8月の弁護団資料「関連共同性について―西淀川公害訴訟に於ける主張を素材にして」、④は1986年8月弁護団資料の「関連共同性班 合宿資料」であった。

そもそも関連共同性論というのは、西淀川公害訴訟の根幹に据えられた議論と位置付けられてきたものであるが、この4つの資料の中身を丹念に読んだ結果、これは大変大きな困惑を弁護団の間で生み出していたものであることが改めて明るみに出されたように思った。長い年月に渡って悪戦苦闘してきた共同関連性論に関する記録を並べてみたときに、その実情が眼前に浮かんでくるようであった。わずかな日数でそのことを語ってくれたミナコさんのまとめに関心した次第。

午後はこれまでの作業の進捗状況について確認を行った。1は作業資料について、資料の表題と資料名を小分けしながら整理をした。1章から4章まで終わらせた。またその時、資料の配置すべき場所について訂正すべきものを訂正した。所々で不思議な文章に遭遇して、原本との照合とを求められるものもあった。

さてこのようにして第4章までは本日をもってほぼ終了まで来たことが確認できた。残るところは第5章「裁判の展開」、第6章「判決と和解-公害地域の再生」である。そのうち第5章の翻刻すべき資料についても定めることができた。ようやく最終地点が近づいてきた感がする。もうひと踏ん張りだといつものように思う。

なお、資料の勉強会には龍谷大学の清水先生もお見えになった。清水先生には、今度の資料集には第5章で原告側となった患者さんとの暮らしぶりへの考え方が端的に示される資料も掲載されることになったことを語っておいた。公害反対闘争を支えた人たちの姿が少しでも見えてくればとの思いが強まった。

 

2025.2.17 小田康徳

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あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)では、西淀川公害がわかる資料集を作成しようと、ほぼ毎週、小田康徳館長が来館し、調査作業を進めています。そのようすを「エコミューズ館長日記」にてお届けします。

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エコミューズ館長日記No.16

先週はずっと寒かった。大阪でも雪が降ったのかな…?

大阪市内でも雪が降ったと聞く。

第4章(都市型公害の深刻さを知り、裁判の意義と課題・可能性を知る)に取り掛かって、翻刻作業の成果をもとに本の形に原稿を整える作業に着手した。いつものように1から始めた。(当ったり前だろうが)

作業は順調にスラスラと、もっと言うならひょいひょいと進むと思った。だが思ったこととできたこととは違った。

1番最初に載せる資料、「峯田弁護士が1974年1月の西淀川の汚染実態調査に参加して被害の厳しさと取り組むべきことを主張する」は、文章だけだったのでほとんど手間がかからず、本の形が出来上がってきた。文章をこれは立派だと読んで、弁護士さんが裁判着手を躊躇っていたところが、被害者の苦しみが具体的に知られていなかったことにあったのだと気づいた。ぜん息の苦しさは、昼間あった時にはなかなかわからないもので、そのことを峯田氏は情熱をこめて訴えている。

それから、SO²濃度、NO²濃度が環境基準を大きく上回っているなかで、その基準に対する攻撃が強化される。結局それが経済との調和論であることの認識が弁護士さんたちの間で共有されていった。そのような地域に於いて「公害差止についての追及と合意が足りない」といった声も出されるようになった。またそれは、都市の在り方を問うことになる、との意見も出されている。

ということで順調に作業が進むかと思ったが、主要汚染源の排出量を推定する数字の羅列に遭遇してから、横書きの報告書を縦書きに変えることが大変厄介であることに悩まされることになる。なんだ横書きから縦書きにするだけかと思っている人は、ぜひ一度チャレンジしてみてください。

そして大阪弁護士会公害対策委員会が「大気汚染-大阪西淀川における実態調査報告第一号」を発行したのであるが、その翻刻に取り組んだ。この報告書は目配りのよく行き届いた文章で、その後論じられる点がほぼ満遍なく提起されていた。全部で170ページを超すもので、これで裁判に向けての方向性も定まったと言っていい。資料集の中に取り込むべきテーマを落とさず書き込むことに苦心しなければならなかった。

というような訳で、今週は内容的には充実した成果であったが、作業の進路はあまりはかばかしくはなかった。来週からはそれをどうすれば挽回できるか大きな課題だ。

 

2025.2.10 小田康徳

 

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あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)では、西淀川公害がわかる資料集を作成しようと、ほぼ毎週、小田康徳館長が来館し、調査作業を進めています。そのようすを「エコミューズ館長日記」にてお届けします。

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Filed under: イベント報告・ホームページ更新,エコミューズ館長日記,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2025年2月16日10:44 AM

エコミューズ館長日記No.15

今日は、大阪公立大学4回生の稲田くんがアルバイトで来てくれた。若々しく、活力に満ちている感じで、なかなかに快活な青年である。第4章の5節「意見陳述書」の翻刻を行なってもらった。この資料は原告が被害を訴えているが、実に率直で迫力に満ちている箇所である。きっと稲田くんにとって思うところがあったに違いない。

本日は第4章1~5節に配列した資料を年月日順に並べなおし、それぞれの資料の位置をわかりやすくした。最後に翻刻がどこまで進んでいるか確認したところ、あともう少しというところまで来ていることを確認できた。いよいよ次は第5章「裁判の展開」に入る。ここについても翻刻すべき資料の候補はほぼ選び終わった。この調子だと2024年度内には資料の翻刻はすべて終わる可能性が見えてきた。大阪公立大学の学生さん(稲田くん・関谷くん)には大変お世話になる。手配をしてくれたのは、いつものミナコさんである。

第5章で難しかったのは、「裁判の論点の展開」であったが、ここをもう少し視点を絞って「論点を巡ること―関連共同性を中心に」としてみた。なんとかそのさわりの部分だけでも紹介できそうになってきた。なにしろ十数年にわたる裁判資料は10,000ページにおよぶかもしれないような記録である。それに取り掛からなければならないと思って心が折れそうになっていたのを、なるほどこれなら弁護士さんたちの苦心も伝わるだろうと感じられたので、不十分ながら一安心したところ。

本日は人とよく会う日であった。神戸製鋼の役員をされていた山岸公夫さんが午後ふらっと顔を出された。積もる話に盛り上がった。稲田くんやミナコさんが人生の大先輩を前に緊張していたのが、言葉を交わすうちに打ち解けていくのが見れて面白かった。

2025.2.3 小田康徳

 

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