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ブログカテゴリー » 資料館(エコミューズ)

大阪公立大学「都市基盤計画特論」第1回(11/26)

大阪公立大学大学院の講義「都市基盤計画特論」(吉田長裕先生)の一環で、受講生7名が西淀川をフィールドに学びます。11月26日に第1回目が行われました。

今回と次回はフィールドである西淀川の歴史や現状を体験することが主な目的です。

タンデム自転車で西淀川を探索
フィールドワークは、大野川緑陰道路をタンデム自転車で走ることからスタートしました。タンデム自転車の操作には息を合わせることが重要で、最初は苦戦する様子も見られましたが、徐々にペースがつかめると、受講生たちは楽しみながらフィールドを巡りました。沿道では、公害や水害対策、多文化共生の痕跡を探しながら学びを深めました。

タンデム自転車でフィールドワークへ出発!

タンデム自転車でフィールドワークへ出発!

公害の痕跡、公害対策

西島工業地域

西島工業地域にある中山鋼業の集じん装置

「公害道路」と呼ばれた国道43号では、車線削減やPM2.5の測定、遮音壁の光触媒塗布など、多様な対策が施されている様子を確認しました。

国道43号沿いで公害対策の説明を受けます。この日も多くの大型車が通行していました

水害への備え
大野川緑陰道路下を通る淀の大放水路や水防碑や防潮堤、スーパー堤防など、水害対策の象徴的なインフラについて説明を受け、地域の治水の歴史に触れました。新淀川が明治時代の治水工事で付け替えられた経緯も学びました。

水防碑「災害は忘れた頃にやってくる」裏にはジェーン台風の被害について書かれています

多文化共生の現場
大阪マスジド(モスク)を訪問し、外国人労働者や異文化が共存する西淀川の現状について理解を深めました。毎週金曜日になると多くのムスリム(イスラム教徒)の方々が集います。周囲にはハラールレストランをはじめ、ハラール食に関するお店があります。
西淀川公害について学ぶ
フィールドワークの後、あおぞら財団に戻り、西淀川大気汚染公害に関するミニ講義。被害の発生から裁判、和解、現在の取り組みに至るまでの過程、公害が地域に与えた影響についてお話しました。

西淀川公害とあおぞら財団の取り組みについて

また、西淀川公害患者と家族の会から須恵さんと上田さんにお話を伺いました。須恵さんからは主に当時のまちの様子や慢性気管支炎の苦しみについて、旦那さんの失明と公害病が重なり多くの苦難の中、前向きに立ち向かったことをお話してもらいました。また、事務局長の上田さんからは和解や補償および現状の対策などを中心にお聞きしました。

公害患者の須恵さん(左)と患者会事務局長の上田さん(右)

ふりかえり
最後に、受講生たちは一日の学びを振り返り、次のような気づきを共有しました。

  • 公害の痕跡と対策: 大気の24時間監視や工場の集塵装置の設置など、公害防止の取り組みを確認。
  • 水害対策: スーパー堤防や防潮堤などの防災インフラの重要性を実感。
  • 多文化共生: 異文化や宗教の共存が地域に根付いている様子を学ぶ

他に、公害被害の体験を世界に発信することが重要ではないかという意見、自転車や歩行者にやさしい道路が多いといった感想もありました。

次回の授業は12月2日です。ワークショップや議論を通じて、西淀川の課題解決へのアプローチを考えていく予定です。

(谷内)


あおぞら財団では、フィールドワークや公害患者さんの語り部などを取り入れたオーダーメイドの授業、研修を行っています。SDGs達成に向け、パートナーシップで問題解決に取り組んだ大気汚染公害の経験を、現地で学んでみませんか?

あおぞら財団の授業、研修に興味のある方はこちら↓をご覧ください。

研修・教育(「あおぞら財団の研修・教育」のページに飛びます)

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入 — aozorafoundation 公開日 2024年12月2日12:12 PM

エコミューズ企画展「写真でふりかえる 工業地域化する西淀川区―戦前・戦後から高度経済成長期まで―」みてアート2024に参加(11/2-3)

11/2-3に開催された「西淀川芸術祭・みてアート2024」に、あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)として参加しました。
「みてアート」は、アートをきっかけに地域で交流しようと始まったイベントで、あおぞら財団で事務局をつとめてきました。親子連れや子どもの参加も多いため、クイズを掲示するなど、楽しんでもらえる工夫もして、2日間で190人の来場がありました。1日目はあいにくの土砂降りの雨でしたが、そんな中でも見に来ていただきました。

エコミューズでは「写真でふりかえる 工業地域化する西淀川区―戦前・戦後から高度経済成長期まで―」と題して、1929年~1964年にかけて撮影されて写真8点の展示と1934年及び1950年の地形図の展示をおこないました。

西淀川区が農漁村地域から工業地域へと変化していった様子を来場者には見てもらうことができました。

現在、当館では、西淀川公害がわかる資料集を作成中で、今回の展示はその第1章の内容をもとに構成しました。今まで、寄贈いただいた資料や、資料集を作成しているということで、あらたにお寄せいただいた写真もあります。

企画展の当日には、大野川緑陰道路が川だった頃、廃棄物や悪臭で非常に汚染されていたころの写真を持って来てくださった人もいました。

地図や写真などの資料を通じて、西淀川地域や西淀川公害についての理解が深まったり、考えるきっかけになれば幸いです。

※企画展の実施には、(独法)環境再生保全機構地球環境基金助成金を活用しました。

 

みてアート
http://miteart.blogspot.com/

(記:鎗山)

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あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)では、西淀川公害がわかる資料集を作成しようと、ほぼ毎週、小田康徳館長が来館し、調査作業を進めています。そのようすを「エコミューズ館長日記」にてお届けします。

【ご寄附のお願い】「西淀川公害がわかる資料集」のための寄附を募集しています。どうぞみなさまの寄附でこの活動を支えていただきますようお願いいたします。
■寄附の方法はこちら https://www.aozora.or.jp/ecomuse/contibution_doner

※資料集のウェブ版作成には、(独法)環境再生保全機構地球環境基金助成金を活用しています。

#おもろいわ西淀川
#にしよど
#魅力発信サポーター
#エコミューズ
#西淀川公害がわかる資料集

 

 

エコミューズ館長日記No.10

みなさんお久しぶりです。
今回はミナコさんに、編集作業をしていて気が付いたことを書いてもらいました。編集作業の意義がこんなに率直に語られることが大変うれしく思っております。

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最近定例会議や作業中の小田先生のお話を聞いていて感じたことは、研究することの大切さです。資料館は資料を持っているというのは前提事項ですが、ただ持っているだけではあまり意味がなく、それらを整理し、内容を確認し、そこからどういったことがわかるのかということを考えることが大事であり、必要だと思いました。
私は大学で学芸員資格取得のための授業を受けています。その際に博物館が「研究」する機関であることを教わりました。これらの活動を博物館や資料館が行うことの重要性を頭では理解していましたが、実際にエコミューズでアルバイトをし、その「整理」や「研究」の活動に参加してみると、その重要性を身に染みて感じるようになりました。
例えば、1970年代の初めに緑陰道路が作られる過程について。あおぞら財団はこれまでも当時のお話を聞いたり、資料を多く持っていましたが、改めてその資料を調査してみると新しく分かったことや、新たな疑問点が多く見つけられました。その1つが、運動の過程で力をのばしていった緑地化委員会がなぜか消えてしまったかということです。このように、単に資料から見るだけでなく、起こった事実と対比させて見ることで気が付く「歴史」や「今」が多くあるのです。
もちろん、整理するのにも研究するのにも、時間や知識・経験など多くのものが必要で、とても大変な作業が求められているように思います。しかしこの発見は本当に楽しく、刺激的な瞬間です。現在あおぞら財団では公害資料集をつくっています。この資料集では誰もが原史料を読んで、当時の状況を直接追体験し、想像することが出来るように考えられています。財団職員のみなさんや小田館長の仕事ぶりに遭遇し、資料集をつくるという瞬間に立ち会うことができています。このことは、とてもうれしく、貴重な経験だと思っています。
このような経験が出来ているからこそ、「整理」や「研究」の重要さをこの短期間で感じられているのかなとも思いました。

これからもあおぞら財団を(私のことも)よろしくお願いします。

ミナコ
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本日(11/25)午前には資料集編集委員会を開催しました。左端がミナコさん。

2024.11.25 小田康徳

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あおぞら財団付属 西淀川・公害と環境資料館(エコミューズ)では、西淀川公害がわかる資料集を作成しようと、ほぼ毎週、小田康徳館長が来館し、調査作業を進めています。そのようすを「エコミューズ館長日記」にてお届けします。

【ご寄附のお願い】「西淀川公害がわかる資料集」のための寄附を募集しています。どうぞみなさまの寄附でこの活動を支えていただきますようお願いいたします。
■寄附の方法はこちら https://www.aozora.or.jp/ecomuse/contibution_doner

※資料集のウェブ版作成には、(独法)環境再生保全機構地球環境基金助成金を活用しています。

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#西淀川公害がわかる資料集

追手門学院大学社会学部社会問題コース フィールドワーク(11/16)

11月16日(土)に、追手門学院大学社会学部社会問題コースのみなさんと西淀川でフィールドワークを行いました。

午後1時にコースの学生さん4名と引率の藤吉圭二先生が出来島駅に集合し、西淀川公害の概要と当日のスケジュールについて説明を行った上で、フィールドワークが開始されました。今回は、国道43号線・出来島小学校・千北診療所・あおぞら苑・大和田街道・大野川緑陰道路の見学を行いました。あいにくの雨でしたが、説明を聞いたり実際に公害への取り組みを見たりしながら和気あいあいとした雰囲気で進められました。

沿道環境を良くするための取り組みを探しました

こんなところにも工夫がされています

 

あおぞら苑には「公害と闘い環境再生の夢を」という石碑が残されています

大阪マスジドにも立ち寄りました 西淀川には多くの外国人の方も住んでおり、色々な国の文化に触れることもできます

緑陰道路を歩きました

あおぞら財団に到着後はワークショップのフォトランゲージを行い、西淀川公害に関する講義を受けたうえで、公害患者さんから直接お話を伺いました。

写真にタイトルをつける「フォトランゲージ」です。的確なタイトルや面白いタイトルがつけられていました

公害患者の方との質疑応答も行われました

研修を通して学んだこと

これから考えたいことについて

普段当たり前になっている青空も、これまでの苦労と取り組みがあったからこそ日常になったものです。環境改善のための取り組みを実際に見たり、公害患者さんから公害についてのお話を聞くことで、より深い理解になったのではないかと思います。

今回初めてフィールドワークに参加してみて、青空を当たり前に変えていく大変さと大切さを改めて強く感じることが出来ました。また、史資料を読んでいるだけでは感じられないことを、このフィールドワークを通じて学ぶことが出来ました。

(スタッフ大島)

 

Filed under: イベント報告・ホームページ更新,環境学習,視察受入,資料館(エコミューズ) — aozorafoundation 公開日 2024年11月20日5:35 PM

日本弁護士連合会 公害環境委員会 現地研修の受入れ(10/12)

10月12日(土)、日本弁護士連合会公害環境委員会の主催で「西淀川大気汚染公害被害地域現地研修」を受け入れました。法科大学院生や若手弁護士が参加し、「西淀川の過去の公害の痕跡と公害対策をめぐる」をテーマにフィールドワークを行いました。参加者5人、引率3人の計8人でした

午前中は、大阪弁護士会館にて村松昭夫弁護士(あおぞら財団理事長)の「公害・環境訴訟を闘って」という講義が行われました。

講義で、西淀川公害訴訟について理解を深めた後、実際に西淀川へ移動し、阪神出来島駅からあおぞら財団までの間、公害にまつわる各所をまわり、街の様子を肌で感じていただきました。

<フィールドワーク>

●国道43号沿道

土曜日ながらも大型車が多い国道43号。交通量の多さや騒音、騒音壁やPM2.5の測定、阪神高速湾岸線への誘導策(環境ロードプライシング)といた環境対策を確認しました。

国道43号の出来島小学校前

●淀中学校

1966年に一般環境大気測定局が設置され、二酸化窒素や一酸化窒素などの大気汚染物質が常時測定されていましたが、2000年の校舎建て替えに伴い撤去されました。その後も再設置されていません。

参考|記録で見る大気汚染と裁判「淀中学校の取組み」

4年前まで一般環境大気測定局があった淀中学校

●千北診療所(公害患者さんの組織化の原点)

かつて西淀川公害患者会の事務局があった千北診療所

●あおぞら苑

デイサービスセンター。公害患者の高齢化に伴う日々の生活の援助を目的として、西淀川公害裁判の和解金を活用して、2006年にオープンしました。施設前には大気汚染公害を伝える石碑が立てられています。

デイサービスセンターあおぞら苑

「公害と闘い環境再生の夢を」

●大阪マスジド

高度経済成長期には全国から「金の卵」と呼ばれた若年労働者が集まり、多くの人が公害病になりました。現在は海外から多くの人が働きに来ていて、地域コミュニティとの共生、災害時の対応など様々な課題もあります。

西日本最大級のモスク「大阪マスジド」

●大野川緑陰道路

1960年代にはドブ川であった大野川を埋め立てて自動車道になる計画がありましたが、住民の反対運動により緑の道に生まれ変わりました。

かつてドブ川、今は緑生い茂る歩行車自転車専用道路

<あおぞら財団の紹介、公害語り部>

フィールドワーク後、あおぞら財団に戻り、西淀川公害の歴史や財団についての説明を谷内より行いました。

続いて、公害患者の岡崎久女さんが体験談を語ってくださいました。

岡崎さんは、ご自身だけでなく、息子さんも公害患者でした。今では医学が進歩して薬で公害病とうまく病状と付き合うことができていますが、当時は、あまりにも苦しかった病状のせいで、息子と無理心中をしようとしたことや、出産を諦めたことなど辛い体験を語ってくれました。

西淀川裁判に原告のひとりとして参加したことについて、こんな境遇にさせられたことに対して企業や道路管理者にとにかく謝って欲しかったという岡崎さんの強い想いを話していただきました。

西淀川公害およびあおぞら財団の紹介:谷内

公害患者のお話:岡崎久女さん、上田敏幸さん(西淀川公害患者と家族の会)

真剣に話を聞く参加者たち

西淀川・公害と環境資料館 エコミューズも見学しました。

エコミューズには、公害裁判資料や公害反対運動等に関する資料が6万点以上あります。

裁判資料を見る参加者たち

法律家の仕事は条文や判例など文字でのやり取りが多いと思います。公害の被害を受けた頃から終わることなく、ずっと続いている日々の想いを患者さんの口から伝えていただいたことは、すごく貴重な体験になったのではないでしょうか?

また、参加者の中には、これから法律家を目指す法科大学院生の方もおられました。このフィールドワークでの経験を活かして、当事者に寄り添う法律家になっていただけることを祈っています。

<参加者のみなさんの感想>

・岡崎さんの「とにかく謝って欲しかった。」という発言を聞いて、原告当事者の一貫した思いを受け止めることは大事にしたいと思った。

・公害被害者の方も高齢になられたり、亡くなったりと、次の世代に伝承していくことが急務だと思った。

・現場を見る事、当事者の話を聴くことが弁護活動の出発点と、再認識した。

・和解的解決の重要性を学んだ。PM2.5の測定を和解条項に盛り込み、それがその後の環境基準の制定につながるなど、西淀川訴訟はその後の環境政策に大きな影響を与えたことを改めて学びました。

(アルバイト 岸本景子、スタッフ 谷内久美子)

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