2013年2月14日(木)と21日(木)に、(財)淀川勤労者厚生協会の主任研修をあおぞら財団にておこないました。基本的に同じプログラムを2回実施し、全員で50人が研修を受けました。14日は26人、21日は24人でした。
以下、21日の内容を報告します。
のざと診療所を出発地とし、西淀川や尼崎の一部をバスで周り、西淀川の地域について理解を深めてもらいました。
のざと診療所→出来島小学校→中島(外島保養院跡)→尼崎工場地帯→国道43号線→淀川土手→公害医療センター→姫島神社裏→大野川緑陰道路→歌島橋交差点→のざと診療所
■のざと診療所にて、フィールドワーク説明、西淀川の地域の概要説明
■出来島小学校
出来島小学校では酸化チタンの加工を施した防音壁を見てもらいました。また周辺の道路についても、道路公害に対する環境対策として、防音壁を見てもらったり、ロードプライシングについて説明がありました。
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■中島(外島保養院跡)
ハンセン病の療養所の跡地を車から見学しました。
■尼崎工場地帯
西淀川は中小規模の工場が多いのに対し、尼崎は大規模な工場が立ち並びます。
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■国道43号線
環境レーンや、大阪府の実施している「流入車対策」の青色ステッカーの説明を受け、参加者は「今まで全然気付かなかった」と驚いている様子でした。
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■淀川土手(西淀川と水害)
下の2枚の写真を見てもらうとわかるのですが、この辺り(福)は海抜ゼロメートル以下の地域であり、水害による被害が非常に懸念されます。
しかし淀川の土手からは尼崎や梅田の観覧車、USJが見えたり、近年は野鳥や魚の姿が見られたりと魅力ももたらしてくれています。
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■公害医療センター
昔は千北診療所内に設立されたセンターがこちらに移転しています。現在は、認定患者さんの定期的健康検診(更新・見直し・管理検査)や基本健康診査を行っています。
■姫島神社裏
■大野川緑陰道路→歌島橋交差点→のざと診療所
大野川緑陰道路からのざと診療所までは徒歩で移動しました。途中、公害がひどかった当時の写真を見せながら、公害の歴史について学びました。
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■のざと診療所(公害病患者からのお話)
西淀川公害患者と家族の会から上田事務局長と認定患者の岡崎さんからお話を聞きました。
岡崎さんは、昭和48年に嫁ぎ先として西淀川に来てから子どもとともに公害に苦しんだ過去を話してくれました。「呼吸ができないってことは全てが止まる。腕も上げられない。タクシーも呼べない。視力も失う」「子どもを殺して自分も死のうと思ったこともある」など、つらい経験をしてきたことが痛切に伝わってきました。しかしそんな中で、病院に入院した時、先生や病院の人がとても優しく接してくれたこと、実習生が頭を洗ってくれて嬉しかったことなど、医療従事者への感謝の思いも語っていました。
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上田さんからは、1991年3月29日の第一審の判決日の様子、工場による公害から車による公害へと変化してきたこと、中国の大気汚染を憂う前に国内の環境基準を厳しく取り締まる必要があることなどの話がありました。
また現在、公害医療補償費打ち切りの危機に直面しており、「汚染は消えていない。患者は増え続けている」と訴えかけていました。
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■グループワーク
参加者から、本日のフィールドワークを踏まえて、もしくは自分が今まで感じたなかで、西淀川のいいところとよくないところを出してもらい、それぞれの意見をまとめて発表しました。
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公害地域としては、公害運動の努力の成果が見られる一方、未だに工場が多く、特に住宅と工場が隣接している点はよくないと指摘がありました。
自然環境については「緑が多い」「野鳥が見られる」などの良い点が挙げられる一方、地盤沈下や水害の不安が挙げられていました。
交通に関しては、交通の便が良い反面、自動車排ガスによる汚染が気になっているようでした。
その他にも、「民医連がたくさんある」「淀川花火が見られる」「銀行・コンビニが多い」「住宅が多い、土地が安い、人口が多い」「名物がない」などが挙げられていました。
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今回のフィールドワークを通じて、より西淀川という地域に愛着を持ってもらうと同時に、公害の歴史や現状と向き合ってもらえたらと思います。
平田